今年の1月に開かれた世界経済フォーラムで、Google会長のエリック・シュミット氏は「インターネットは消える運命にある」と発言した。これの意味する所は逆説的な意味合いもあり、ネットが日常空間により入り込んで見えなくなるという意味だった。
つまり、日常生活全てがオンラインになり、日常における独り言、見たもの、感じたものをネット上へ簡単に公開する事も出来るようになるという事を意味している。
こうした日常のオンライン化が進んだ事で、現代においては自分の意見や感想をより多くの人に見てもらい易い環境になったと言える。ちょっとしたつぶやきが周囲の知り合いに留まらず、日本全国、しいては世界へも広がるのだ。
ネットにおける議論の場
人が意見を述べる場合、何らかのトピックがある。古さの感じられない時代に合ったトピックほど、多くの人が意見や感想を述べたくなるだろう。これらは度々ぶつかり合って議論となる。
インターネット上では、ちょっと前まで、こうした議論のほとんどが2ちゃんねるといった掲示板に専用のスレッドが作られる事から始まっていた。テレビなどの大手メディアが取り上げて話題になっているものをトピックにするケースもあれば、個人が問題提起する事もあった。
近年においてもこうした議論の場としての2ちゃんねるの役割は非常に大きい。匿名性によってひと目を気にする事なく様々なトピックが提供され、それに対する率直な意見がなされている。
炎上、バズとその拠点
ネットから生まれた大きな批判は、炎上という形になってネットの世界に大きな広がりを見せる事がある。そして、トピックを取り上げた人達は、批判対象へどうにかして圧力をかけたいと考える。
昔は電凸と呼ばれるような、電話での問い合わせと称した批判対象への攻撃がこうした圧力だった。積極的な2ちゃんねるユーザーを中心に、電話での攻撃をしていたのである。
そして電凸で批判対象がダメージを受けていると確認できた時、多くの2ちゃんねるユーザーは満足した。
影響力を持ち始めた個人
大手メディアは以前年配者を中心に大きな影響力を与えているが、若い世代になればなるほどその影響力は弱まる。若者に関しては、ソーシャル上の知り合いやフォローしている人達に影響される事の方が多い。
こうしたソーシャルの影響力が若者世代で増すに連れ、大手メディアもソーシャルで話題となったトピックを取り上げる事が多くなった。2ちゃんねる発の話題に関しては「まとめサイト」でわかり易くまとめられる事でソーシャルでも広がって行く。
まとめサイトにより2ちゃんねるで話題となったトピックは以前よりも大手メディアへ広がり易くなったと言えるだろう。
はてなブックマークの影響力
2ちゃんねるにおける議論はいくら注目度が高くなっても、圧力を受けた批判対象と2ちゃんねるユーザー内でしか広がらない。普段2ちゃんねるを見ない人へは、あくまでもまとめサイト等の外部サイトを通して、一部の人間にも知られるようになるのである。
ここで一般の人へも広がるためには、今の時代において、ソーシャルの役割を無視することは出来ない。多くのユーザーを抱えるFacebookやTwitterも拡散においては重要となるが、あくまでも、こうしたソーシャルの中で2ちゃんねるのような役割を果たすのがはてなブックマークなのである。
先日バイラルメディアやそのライターのあまりにも理不尽な自己ルール設定を取り上げた鈴木氏の記事が大きな話題となった。
鈴木氏は前々からこうしたパクリメディアの問題を取り上げていて、今回も応援とばかりにコメントし経過を見ていたのだが、予想以上の広がりを見せた。特に、TwitterやFacebookをはじめ、今まではこうしたパクリサイトを黙認していたインフルエンサーが堰を切るように言及をし始めたのが今までと大きく違う点だろう。
サイバーエージェントはこの件どう対応するのだろうか。ギャラいくらで書かせてるのかも気になる。 / パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している! – 鈴木です。 http://t.co/YQK5zZ3RFA #NewsPicks
— 津田大介 (@tsuda) 2015, 5月 1
大ショック!!画像が勝手にまとめサイトに盗用!? http://t.co/3GZrm1xySr パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している! http://t.co/3XRnQqT7l2
— やまもといちろう (@kirik) 2015, 5月 1
パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している! – 鈴木です。 http://t.co/bjbi7MeyEg
— 田端 信太郎 (@tabbata) 2015, 5月 1
これはあかんやつ / 他50コメント http://t.co/os0sGutbu1 “パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している! – 鈴木です。” http://t.co/EaGiHB5VDr
— ヨッピー (@yoppymodel) 2015, 5月 1
サイバーエージェントさん、大丈夫なのか?!パクリメディア Spotlightのライターが盗用した先のブロガーを脅している! – 鈴木です。 http://t.co/5Tef2tNhmd
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2015, 5月 1
IT業界において、サイバーエージェントを率いる藤田氏は多くの若手論客からも神格化されている。藤田氏のバックがあったせいか、今までこうしたサイバー出身者や子会社の運営しているパクリサイトを「個人以外のメディアで」叩かれる事はほとんど無かった。しかし、世間の圧力もあってか、ここに来てようやく風潮が変わり始めている様に思える。
キュレーションサイトをはじめとしたパクリサイトにおいては、コンテンツメーカーの中では前々から批判の対象になっていた。自分も以前拝金主義的な思考のもとで運営されているこれらサイトについて批判的に取り上げた事がある。
トピックとしてうっすらと盛り上がっている風潮の中、はてなブックマークへ取り上げれば、勘の良いインフルエンサーはこれに言及したくなるだろう。もちろんソーシャルで話題になるだけでなく、インフルエンサーに取り上げられる事で、より大手既存メディアに取り上げられる可能性は高まる。
Twitter、Facebookで「影響力を高め」、はてなブックマークで「影響を与える」
2ちゃんねる等の掲示板はトピックとなるURLをスレッドの最初に張ることで、はじめて議論が可能となる。しかし、はてなブックマークはURLの裏側とも言える独自の場所を用意し、簡単にトピックを取り上げる事が出来るようにした。
こうしたはてなの作り出す「URLの裏面」における世界は日に日に影響力が増している様に思える。
インターネットが日常に入り込む中で、ソーシャルというのは自分の価値を量る大きな要素となっている。現に今では自身のソーシャルアカウントを、内定を勝ち取る手段として使っている就活生もいる。
もちろん、その際に紹介するソーシャルアカウントはそれなりの影響力を持っていなければ意味が無い。従って、そういった学生は就職活動に備えて早いうちから始めている。
ソーシャルを育てる行為を学歴というバックグラウンドが無い無名大学の人間こそ、一発逆転のために行うべきだろう(もちろん、ブログを育てても良い)。
少し前までは、ソーシャルで活発に活動している人間というのを企業はプラスとはせず、むしろマイナスにするケースも合った。
しかし近年、若者の日常にソーシャルがより深く入り込んで来てからは、これを拒むことは不可能に近くなった。結果として、ソーシャルの関与を拒まないだけでなく、これを積極的に受け入れた上でどう利用するかを考えるようになっているのだ。
もちろん、単にフォロワーが多いだけでは、影響力の無さをすぐに見破られてしまう。また、ソーシャルをリスクとしか考えず、減点方式で評価する企業があるのも事実だ。
マイナスに評価されるような事はせず、多くの人間を巻き込み新しい人へもどんどんリーチするぐらいのインフルエンサーになる必要があるのだ。
「影響を与える」はてなブックマーク
TwitterやFacebookがこうした影響力を育てるソーシャルであるのに対して、はてなブックマークは実際に影響を与えるきっかけを作る事が出来る。
ただ、簡単にバズや炎上を起こせるというわけではない。バズを起こすのに重要なのは、普段から世間の関心を感じ取りネタを提供するか、周りにインフルエンサーを抱える事の他、はてなにおけるバジェットを貯めておくことも非常に重要である。
また、ブログやソーシャルを営利目的のみで運営しているだけでは、ユーザーの多くが壁を作ってしまうだろう。普段からユーザーにプラスになる情報を発進する側とならなければならない。
自分自身とも言えるソーシャルが成長し巻き込む人が増えて行けば、はてなブックマークを通してより世間に影響を与えるようになっている。ソーシャルはもはやネットに留まらず、人々の日常にも影響を与えているのは紛れもない事実なのだ。
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