アフィリエイターとはウェブサイト、メールマガジン、ソーシャルなどを運用し、主にアフィリエイト広告(成果報酬型広告)で収入を得ている人を言う。
アフィリエイターの中でもアフィリエイト収入だけで生活している個人は「専業」アフィリエイターと呼ばれる。会社員や他の事業と兼業している個人は「兼業」アフィリエイターと呼ばれている。
ウェブサイトを運営し、アフィリエイト収入を得ている法人もいる。しかし、アフィリエイターは個人を指して言うことが多く、法人には使われていない。
この記事では
▶ アフィリエイターになるということ
を専業化の際に重要な要素やアフィリエイターになることで生じるメリットから、社会の中のアフィリエイターについて見解を述べ、
▶ 猶予期間としての専業アフィリエイター
という、大人になってからも与えられる贅沢な猶予期間になりうる理由まで詳しく述べていきたいと思う。
アフィリエイターになるということ
アフィリエイターの定義がアフィリエイトをする人だったり、アフィリエイト収入を得ている人という意味なので、アフィリエイターになること自体は簡単である。ただ、専業アフィリエイターだったり、月数十万円稼ぐのは、統計的に見ても楽とは言えないだろう。
専業アフィリエイターになる際は
▶ 生活出来るぐらいの十分な収入を得ているかどうか?
▶ 自分の置かれてる環境
にくわえ、
▶ アフィリエイターになることで得られるメリット
を総合的に考慮して、決める人が多い。
生活費は人それぞれであり、低コストで生活できるなら月10万円程度の収入で他の仕事を辞め、専業アフィリエイターになる人もいる。著者の場合も月10万円の収入で専業アフィリエイターになった。生活コストの低い人ほど生活の維持もしやすく、事業として継続するのも容易である。
自分の置かれてる環境とは、たとえば、会社員が会社を辞めて専業アフィリエイターになるのはキャリアの意味でリスクを伴うだろう。しかし、フリーターといったポジションの回復が容易な立場だったり、正社員でも満足のいかない労働環境なら、仕事を辞めて専業アフィリエイターになるのも抵抗は無いはずだ。著者の場合も、当時はフリーターだったので、専業アフィリエイターになることに何ら躊躇することはなかった。
くわえて、アフィリエイターになることで得られるメリットがその人にとって大きいものならば、キャリアのリスクを取った上でもなりたいという人が出てくるだろう。
アフィリエイターになることで生じるメリットとデメリット
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アフィリエイターになることで生じるメリットは
▶ 場所的、時間的な自由が生じる
▶ 仕事をする上で面倒な人間関係を避けれる
といった点が大きいだろう。
逆にデメリットとしては
▶ Googleや世間の需要、および広告主の意向によって収入が大きく変わる
といったことがある。
まずメリットについてはフリーランス職全般に言えることではある。しかし、アフィリエイターは特にこれらの特徴を享受できる。
アフィリエイターをわかりやすく別の言葉で表現すると「ウェブサイトの管理人」である。ウェブサイトはあくまでも中継地点であり、顧客との切点は殆ど無い。人を相手にすることで生じる面倒なことは誘導先で処理してくれるからだ。管理人としての役割も、中継地点として機能させるための最低限の作業で良いのだ。
場所的、時間的な自由があれば、極端な話、旅行をしながらの仕事もできる。
仕事上の人間関係で苦労している人なら、人間関係を取り除けるのは非常に魅力的だろう。人を相手にすることで生じる面倒なことは誘導先で処理してくれるからだ。
アフィリエイターの特徴を知らない人は現在のポジションを捨てて専業アフィリエイターになることを理解できないかもしれない。ただ、こうしたメリットを理解すれば、誰がアフィリエイターになっても驚かないはずだ。
逆に、デメリットとしてはGoogleや世間の需要、および広告主の意向によって収入が大きく左右される点があげられる。もちろん、大きな影響を避けるために、上位表示の手法やジャンルを変えたり、複数のサイトを運営してリスクの分散はできる。数年以上アフィリエイト事業を継続している人の多くは複数のサイトで複数のジャンルを扱っている。
専業アフィリエイターになれば他のフリーランスと同様に収入が不安定になるのは間違いない。それでもアフィリエイト市場を含むネット広告はテレビや新聞、雑誌、ラジオといった既存のメディアから市場を奪い成長している。数年間という短期間は比較的安泰の職業だと言える。
長期的に見ると、他の媒体からトラフィックを奪い切った際にアフィリエイト市場の成長も止まるだろう。なぜなら日本の広告市場は全体では伸びていないからだ。ただ、アフィリエイトが無くなっても人の集まる所には必ず広告がある。人が集まるメディアさえ持っていれば、ある程度の収益を長期的に見てもあげられるだろう。その頃までに、検索エンジンといった一部の流入経路へ依存するのではなく、知名度を上げるなどしてリスク分散を進めている人も増えていくはずだ。
社会の中のアフィリエイター
専業アフィリエイターになれば時間的、場所的な自由を感じ、面倒な仕事上の人間関係もなくなる。アフィリエイト広告を提供してくれるASPの人とはある程度のやり取りも必要になるが、一部の指示を除き、上下関係も無い。飲みへと嫌々行く必要も無いので、飲み会が楽しみになるだろう。
専業アフィリエイターは「なるまで」と「なってから」では全く別のフェーズに入る。
アフィリエイターという職業を詳しく知らなかったり、楽な仕事で稼いでるとの一方的な偏見、嫉妬を持っている人もいる。職業をアフィリエイターと言えば、態度が明らかに変わる人もいる。逆に、アフィリエイトを教えてほしいと頻繁に連絡をしてくる人も出て来て、面倒に思う事もあるはずだ。
これらは希薄になった人間関係を更に希薄にしてしまう要因にもなる。
もちろん、同じアフィリエイター同士だったり、ブロガーとの関係が広がり、別の交友関係は広げられる。ただ、一般社会において、アフィリエイターは様々な偏見や嫉妬を含めたネガティブな印象から戦い続けなければならない。職業としてのアフィリエイターは情報商材を売ったり、高額塾で儲けている人のイメージを持つ人もいる。
多くの人が一般社会で職業を聞かれたら「アフィリエイター」とは答えないはずだ。アフィリエイト事業で法人化した場合も事業内容としてはメディア運営だったり、インターネット広告、WEB制作、マーケティング事業と説明している会社が多い。
ただ言えるのは、アフィリエイターには悪いイメージは付きまとうものの、稼げるようになりさえすれば知り合いのこうした偏見も薄まっていく。やってることは同じでも、稼いでいるかどうかで説得力も違ってくる。これはアフィリエイト事業に限らないだろう。お金を稼ぎさえすれば、行動力があり、口だけではない優秀な人間だと思われる。
社会に認められたいと思うなら、何よりも「稼ぐこと」が手っ取り早いと言えるだろう。
アフィリエイト事業の法人化
アフィリエイトで法人化する人は更に売上を増やしたい人だったり、節税などを目的としている。ただ、中にはアフィリエイターが社会に馴染むための選択肢として法人化を用いている人もいる。
アフィリエイト事業を法人化すれば、もはや個人ではない。よって、「専業アフィリエイター」ではなく「経営者」になる。考え方にもよるが、アフィリエイト事業の法人化はアフィリエイターとして得られるメリットを捨て、再び社会へと舞い戻る手段の1つと言えるだろう。専業アフィリエイターのメリットが無くなり、「アフィリエイターから卒業」したと言っても過言ではない。
アフィリエイトで売上を作っていると、関連事業へ広げたりアフィリエイト以外の部分でも収入を得ようと考えるようになる。特に、リアルでアフィリエイターとして積極的に交流を続けていくと、ウェブサイトの作成からネットの集客まで知り合いに頼まれる機会が何度かあると思う。ここからの紹介が広がり、継続的な収入になって、従業員を雇い、アフィリエイト事業と並行して進めていく人もいる。
最初からアフィリエイト以外の収入を持っている人もいるし、アフィリエイトが軌道に乗ってから新しい事業を始める人もいる。統計を見ると、月30万円以上稼いでいる人の半数以上が専業になっている(全国のアフィリエイター男女2,000人に聞いた アフィリエイターの恋愛×お金事情調査より)。ただ、自営業者で他に収入がある人も、額が少なければ専業と答えるのが普通だ。くわえて、アフィリエイト「だけ」でこれから先も食べて行こうと考えている人まで含めると、その割合は更に減るだろう。
猶予期間としての専業アフィリエイター
専業アフィリエイターを続けて感じたのは、その性質上、アフィリエイターというのは目標の過程で行う一時的な職業になりやすいということだ。もちろん、生涯アフィリエイターでい続ける人もいるだろう。ただ、多くの人は専業アフィリエイターという個人で行うアフィリエイトから数年で「卒業」して法人化したり、別事業と並行して行うようになっている。法人化したり、別事業を始めれば場所的、時間的な自由、仕事をする上で面倒な人間関係といったアフィリエイトのメリットを捨てる必要性も出てくる。
その上で人との繋がりだったり、結婚といったある程度「普通」の社会生活を望むようになったら、この流れは更に加速する。これは長期間ニートや引きこもり生活をしていたり、社会との接点を持たないことに慣れている人でもなければ当然のことである。結婚して家庭を作るといった「普通のレール」に乗れば、社会の中でどのように生きるかを考えた上で修正が必要になる。
以上を踏まえると、多くの人にとってアフィリエイターはゴールを決める前に彷徨うモラトリアムのような役割を果たしているように、アフィリエイターとして5年以上、この中に浸って来た自分は思う。自由な環境の中、なりたい自分になるために、自分自身と向き合うことのできる期間だ。
ある程度の大人になってからも、こうした猶予期間を作れるのは非常に贅沢である。専業アフィリエイターになったなら、このモラトリアムの中でどのように楽しむかだけでなく、どのような人生を進むかも決めていく必要があるだろう。
