2019年10月1日から始まるキャッシュレスポイント還元制度では国の予算により
・消費者還元補助(消費者への還元増)
・加盟店手数料補助(店舗の負担軽減)
・決済端末補助(店舗の負担軽減)
・事務経費補助(キャッシュレス決済事業者の負担軽減)
を受けられる。
店舗側、決済事業者側には恩恵を受ける上場企業もある。これら上場企業へ投資すれば、キャッシュレスポイント還元制度による消費者への恩恵を投資によっても得られる。
店舗については中小・小規模事業者の店舗でしかポイント還元を受けれない。従って、上場企業のような大規模事業者はキャッシュレス決済による恩恵を受けれないように見える。しかし、ショッピングモールへ出店している中小規模事業者店舗は還元の対象となる。これは楽天やYahoo!ショッピングといったネットショッピングモールも同様である。
出店店舗の売上が増えれば、出店店舗から手数料をもらっているリアルおよびネット上のショッピングモール運営会社も恩恵を受ける。また、上場企業でもフランチャイズ店の多くは中・小規模事業者が経営しており、キャッシュレス決済による補助が受けられる。結果的に、キャッシュレス決済による売上が増えれば、本部の上場企業にも恩恵が広がる。
キャッシュレス決済事業者は事務経費補助を受けられる上に、導入する店が増えることにより、加盟店手数料収入アップが望める。
この記事ではキャッシュレスポイント還元制度により恩恵を受ける銘柄について
▶ 店舗側として恩恵を受ける銘柄
▶ 決済事業者側として恩恵を受ける銘柄
に分け、トータルで見たときに、特に
▶ キャッシュレスポイント還元制度で特に恩恵を受ける銘柄
についても具体的に紹介していきたいと思う。
店舗側として恩恵を受ける銘柄
店舗側でキャッシュレスポイント還元制度により恩恵を受ける上場企業としては
・ネットショッピングモール運営企業(Amazon、楽天、ヤフー)
・ショッピングモール運営企業(デパート、鉄道、不動産関連企業)
・フランチャイズ企業(ファーストフード、コンビニ、ガソリンスタンドなど)
がある。
下記では恩恵を受ける理由と具体的に恩恵を受ける銘柄の紹介をしていきたいと思う。
ネットショッピングモール運営企業
キャッシュレスポイント還元制度によりもっとも恩恵を受けるのはネットショッピングモール運営企業だと個人的には思っている。
実店舗が入居するデパートやショッピングモール運営会社よりも寡占化が進んでおり、日本ではAmazon、楽天、ヤフーの3社がほぼ独占している。
ZOZOTOWNもブランド品を扱うネットショッピングモールとして有名だろう。
ただし、Amazonは商品の多くを入居店舗ではなく、Amazonが販売している。また、ZOZOTOWNではすべてZOZOが販売しているため、キャッシュレス還元制度による還元を受けれない。
顧客がこれを知らずに利用する可能性はあるものの、5%還元の文字が踊る楽天とヤフーに集中するだろう。
ショッピングモール運営企業
実店舗が入居するデパートやショッピングモール運営会社もキャッシュレスポイント還元制度による恩恵を受けれる。入居店舗が中小規模事業者なら5%還元を受けれるためだ。ただし、ショッピングモールは数が多く、直営店は還元を受けれない。
ネットショッピングモールよりも恩恵は限定的だろう。
フランチャイズ企業
フランチャイズにはファーストフードなどの外食、コンビニ、ガソリンスタンドなどの業種がある。
フランチャイズ店におけるキャッシュレスポイント還元は5%ではなく2%、加えて、本部の直営店では還元を受けれない。直営店はキャッシュレスポイント還元の対象となる中小規模事業者に含まれないためだ。
例えば、マクドナクルドでキャッシュレスによる還元を受けれるのはフランチャイズ店で2%、本部直営店で0%になっている。ファミリーマートも駅構内の店舗では還元を受けれないといった制限を設けている。
逆に、セブンイレブンは還元を受けれる店舗と受けれない店舗といった差が出ないよう、直営店でも自社の負担で2%還元を付与し、すべての店舗で2%還元を実施している企業もある。
決済事業者側として恩恵を受ける銘柄
キャッシュレス決済事業者とはクレジットカードからスマホ決済まで、キャッシュレス決済サービスを提供している事業者である。
キャッシュレスポイント還元制度によりクレジットカードおよびスマホ決済などのキャッシュレス決済を導入する消費者、店舗も増えるだろう。キャッシュレス決済額が今以上に増えれば、その分決済事業者の売上に上乗せされる。結果として、決済事業者は店舗が負担する加盟店手数料収入を増やせる。
クレジットカードはある程度普及しているため、今はスマホ決済市場の方が成長余地は大きい。特に、PayPayは大規模な投資を行い、会員を増やしいる。
PayPayはソフトバンクとソフトバンク子会社のヤフーが運営する会社。
ただし、投資段階で支出の多いスマホ決済事業の黒字化はすぐには難しい。効果が現れるまで長いスパンで見なければならない。投資額に見合ったリターンが得られるか?を今から見極めるのは難しい。
キャッシュレスポイント還元制度で特に恩恵を受ける銘柄
以上の情報を考慮して判断すると、キャッシュレスポイント還元制度で「特に」恩恵を受ける銘柄は
になるだろう。
ネットショッピングモールはリアルのショッピングモールよりも寡占化が進んでいる。ネットショッピングモールにおける売上シェアが大きい楽天へと利益が流れ込む可能性は高い。
決済事業者側として楽天は楽天Pay、ヤフーはPayPayの運営に関与している。大規模なキャンペーンを続け、投資額のPayPayがどれだけのリターンを得られるかは未知数である。そういった意味では堅実な運営を続けている楽天の方が無難だろう。
楽天は店舗側、決済事業者側として、キャッシュレスポイント還元制度で大きな恩恵を受ける。キャッシュレスポイント還元制度についた予算(税金)の多くが楽天へ流れ込むと言っても過言ではない。
しかし、こうしたキャッシュレスポイント還元制度銘柄も株価に影響する材料は多岐に渡っている。楽天についても、直近ではキャリアとしてのスマホ事業にかかっているだろう。
投資は株価に影響しそうな材料を総合的に見て、リスクを考慮した上で行ってほしいと思う。