デビットカードは不正利用に対する補償も付いている。したがって、現金を持ち歩くよりも安全性は高い。現金は落としたら戻ってこないのが普通だからだ。ただ、デビットカードの不正利用に対する補償は100万円までといった銀行ごとに上限が決まっている。
デビットカードの安全性をより高めるなら、1日あたりの利用額を制限した上で適切な対策が必要になるだろう。
この記事では
▶ 主要なデビットカードの補償金額
から事前に知っておくべき
▶ デビットカードの不正利用による補償が受けれない場合
▶ 不正利用される前になすべき対策
まで詳しく紹介していきたいと思う。
主要なデビットカードの補償金額
多くのデビットカードはクレジットカードとは違い補償金額が決まっている。
主要なデビットカードとしては
1.楽天銀行
2.GMOあおぞらネット銀行
3.ソニー銀行
4.セブン銀行
5.イオン銀行
6.住信SBIネット銀行
7.三菱UFJ銀行
8.みずほ銀行
の発行するデビットカードがある。
下記表では、これら主要なデビットカードの補償金額や補償可能期間についてまとめて紹介する。
デビットカード名 (銀行名) |
不正利用の補償上限額 | 補償可能期間 | デビット規約ページ |
---|---|---|---|
楽天銀行デビットカード (楽天銀行) |
年間100万円 | 楽天銀行が通知を受理した日の30日前以降、受理した日から60日後までの91日間。 | 楽天銀行デビットカード盗難補償規定 | ご利用規定 | 楽天銀行 |
Visaデビット付キャッシュカード (GMOあおぞらネット銀行) |
100万円 (法人は1000万円) |
GMOあおぞらネット銀行に通知が行われた日の30日前の日以降に発生した損害。 | Visaデビット付キャッシュカード 商品概要説明書 |
Sony Bank WALLET (ソニー銀行) |
1日あたり利用限度額の範囲で補償 (規約に上限額の記載なし) |
ソニー銀行に通知が行われた日の30日前の日以降に発生した損害。 | Sony Bank WALLET 商品詳細説明書 |
デビット付きキャッシュカード (セブン銀行) |
1事故あたり500万円 | セブン銀行が紛失・盗難の届出を受けた日の60日前以降の利用が補償対象。 | デビットサービス商品概要 6/7 |
イオン銀行キャッシュ+デビット (イオン銀行) |
不正使用による損害額が補償 (規約に上限額の記載なし) |
イオン銀行が届け出を受理した日を含めて61日前にさかのぼり、その後に発生した損害額について全額補填。 | デビットカードとは(イオン銀行キャッシュ+デビット) |
ミライノ デビット (住信SBIネット銀行) |
年間100万円 (法人は年間1000万円) |
盗難、紛失、番号不正使用による損害は30日以上、偽造・変造は60日以上経過する前に、通知が行われた損害。 | デビット盗難補償規定 |
三菱UFJデビット (三菱UFJ銀行) |
三菱UFJ-JCBデビット:1事故あたり500万円 三菱UFJ-VISAデビット:最大:年間最大100万円 |
三菱UFJ銀行が連絡を受けた日から60日前まで遡り、その日以降に発生した損害について補償。 | 三菱UFJデビット(JCB・VISA) |
みずほJCBデビット (みずほ銀行) |
損害を補償 (規約に上限額の記載なし) |
損害を60日前までさかのぼって補償。 | みずほ JCB デビット |
個人口座は楽天銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行、三菱UFJ(Visa)が100万円まで補償され、セブン銀行、三菱UFJ(JCB)が500万円、ソニー銀行、イオン銀行、みずほ銀行は上限の規定無しとなっている。
デビットカードの不正利用による補償が受けれない場合
デビットカードもクレジットカードと同様に、原則として補償を受けられる。ただし、「補償が行われないケース」も規約等に明記されている。例えば、楽天銀行デビットカードの場合は
第1条の規定にかかわらず、次に掲げる損害に対しては補償は行われません。
(ア) お客さままたはお客さまの法定代理人の故意もしくは過失または法令違反に起因する損害
(イ) お客さまの家族、同居人、留守人、使用人その他お客さまの委託を受けて身の回りの世話をする者等、お客さまの関係者が自ら行い、もしくは加担したことによる損害
(ウ) デビットカードがお客さまに到達する前に生じた盗難または紛失による損害
(エ) デビットカードにお客さま自らの署名が行なわれていない状態で行われた使用による損害(インターネット加盟店でのご利用の場合も適用されます)
(オ) 他人に譲渡・貸与または担保差入されたデビットカードの使用による損害
(カ) デビット用暗証番号を用いたデビットカードの使用による損害
(キ) オンライン利用認証サービスを用いたデビットカードの使用による損害
(ク) セキュリティコードを用いた認証がされたデビットカードの使用による損害
(ケ) デビットカード取引規定、預金口座取引一般規定など、当行が定める規定に違反したことにより生じた損害
(コ) デビットカードを利用可能な現金自動支払機が正常な機能を発揮しない状態で行われた使用による損害
(サ) デビットカード加盟店に設置されている端末が正常な機能を発揮しない状態で行われた使用による損害
(シ) 戦争、暴動、地震・噴火またはこれらによる津波、核燃料物質の放射線による事故など、著しい社会秩序の混乱の際に行われた盗難または紛失により生じた損害
重要なポイントとして、故意もしくは過失または法令違反に起因する損害については補償されない。これは多くの銀行も同様である。
また、「デビットカードにお客さま自らの署名が行なわれていない状態で行われた使用による損害」も補償されない。これはクレジットカードも同様である。カード裏にサインをしていない日本人は多いので気をつけよう。しかし、海外ではカードの裏にサインが無いと、支払での利用を断られることもある。
くわえて、「デビット用暗証番号を用いたデビットカードの使用による損害」も補償されない。推測されやすい暗証番号にしたり、暗証番号を教えた相手が不正利用した場合は補償されないと考えておこう。
基本的に、デビットカードは名義人だけが使用し、暗証番号は推測されないような数字列、カード裏への署名など、常識の範囲内での使用なら補償は受けれる。また、相手が特定できる場合だったり、犯罪被害によるものは規約によらない補償は求められる。
補償額以上の損害はもちろん、損害自体を避ける対策も行っておくべきだ。
不正利用される前になすべき対策
クレジットカードの不正利用は怪しいサイトでの使用だったり、企業の顧客情報からクレジットカード情報が漏洩、外出先での利用の際、カード情報を盗まれる(スキミング)といったことから情報が盗まれ、生じる。顧客情報の漏洩はユーザー側で防ぐのは難しいものの、怪しいサイトだったり、外での利用を控えれば不正利用をある程度は防げる。
また、多くのデビットカードはクレジットカードとは違い補償金額が決まっている。したがって、デビットカードの利用限度額は補償額以下の金額にした方が良い。持ち歩くデビットカードで、普段から大きな決済に利用しないなら、1日数万円に利用限度額を設定しても良いだろう。
たとえば、楽天銀行デビットカードの場合は下記のように1日の利用限度額を設定できる。
遊びに行くにしても、1日の利用限度額は10万円程度あれば十分だろう。1日10万円なら、不正に10日間気づかなくとも、100万円補償なら全額補償を受けられる。
また、デビットカードと連携している銀行口座へ、使う金額以上を預金しないという対策も有効である。デビットカード連携銀行口座と預金に利用する口座は分けるべきだ。貯蓄に使う口座のキャッシュカードにはデビットカード機能を付けないようにし、そちらに預けておく。資金の殆どをデビットカードと連携している銀行口座に入れておくのはおすすめできない。
くわえて、
1.定期預金の契約
2.株式にする
3.証券口座への預金
4.外貨へ交換し、外貨での預金
を利用しても良いだろう。
定期預金にしておけば、満期もしくは解約するまで、デビットカードの資金として利用できない。したがって、不正利用で使われるのを避けられる。楽天銀行なら定期預金で0.21%の利息も得られる。補償額以上の額は普通預金よりも、定期預金に入れておけば一石二鳥である。
証券会社が倒産しても株主の権利は守られるため、一部を株式にするのも資産を守る上では悪くない。証券口座の現金も、銀行と同様に、倒産しても1000万円までは保証される。証券会社口座へ現金のまま入金しておくのも手である。
外貨については投資目的で変えておくのは悪くない。ただし、外貨はペイオフや証券口座ような保護の対象にならないため、ある程度信用できる銀行に預けた方が良いだろう。
デビットカードから生じる損害を防ぐ対策は数多く存在している。特に、使う金額以上をデビットカード対応の口座へ入れないというのは大事だ。これらの対策をしっかりしておけば、不正利用に対して心配することもないだろう。
還元率の高さで選ぶ、おすすめデビットカードについては下記記事を参考に。
