本日は前回記事
の後編にあたる記事で、内容は昨今話題になっている高額塾・高額セミナーと昔からある迷惑な存在・スパムについてである。その辺の実態を公にしていきたいと思う。
高額アフィリエイト塾・セミナー
闇金ウシジマくん、フリーエージェント編
高額アフィリエイト塾、高額セミナーしいてはアフィリエイトビジネスの胡散臭さが世間に急速に認知され始めたのは、近年メディアに登場した与沢翼氏の影響が強いだろう。
与沢翼氏と恋人の相原麻美氏(https://twitter.com/tsubasa_yozawaより)
加えて、漫画・闇金ウシジマくん30巻から始まったフリーエージェントくん編がこの与沢翼をモデルにしているということもあり、アフィリエイト=胡散臭いというイメージを決定づけるものとなったに違いない。
見てない人のために簡単にあらすじを紹介する。
お金を稼ぐという目的のためだけに肉体労働(フリーター)をしていたある若者がいた。彼はネットビジネスでお金持ちになれるという売り込みの広告を見て、無料のセミナーに参加する。セミナーを通してネットビジネスで実際に成功した人と接し、その世界に憧れを持つようになる。そして親からお金を借り、多額のお金を支払ってアフィリエイト塾へと入塾する。
塾で教えられたのはFacebookやブログ上でお金持ちアピールを行い、その高額塾を自身も販売して紹介料を得るというねずみ講のようなシステムだった。
それでもセミナーへの入会者を増やせば、紹介料として高額の報酬を得る事が出来るため、お金持ちになりたい人と思っている人を勧誘していく。多額の紹介料を得て、高級マンションに高級車、綺麗な恋人と、理想を次々に実現させて行くが・・・
このような感じで話は進む。ストーリー的には良く出来ていて面白い。ちょくちょく過去の話との繋がりは出てくるが、過去の巻を読んでいなくとも十分理解は出来ると思う。
電子書籍ではすぐに読む事が出来るので、興味のある人はどうぞ。
フリーエージェントくん編は30~32巻までになる。
世間もネットビジネスの胡散臭い雰囲気を感じていた頃だし、このフリーエージェントくんでは与沢翼氏をはじめとしたモデルが実在しているので、比較的話題になった。多くの人がネットビジネスはやっぱりロクな物でなかったと確信してしまっただろう。
前回記事で紹介した自己アフィリエイトと同様に、公にならない胡散臭い、比較的若い人達で構成されるビジネスはねずみ講的なシステムになるケースが非常に多い。
それはやはり学生をはじめとした若い人のほうがネットワークを持っているし、構築し易い、そして、経験の無さから長期的な目線でビジネスを見ることが出来ないからだろう。
ネットワークビジネスをはじめこうしたビジネスは必ず搾取される側の方が圧倒的多数だ。他人を踏み台にして、ごく一部の人間が悠々と暮らしているのである。
違法性は考えないにしても、誰か人(友人、知り合いなど)を踏み台にして搾取する側に回らなければ「元本割れ」を起こすと考えて方が良いと思う。
与沢翼の主なビジネスとは?
彼は自身のことをアフィリエイターと名乗っているが、通常のサイト運営で収益をあげるアフィリエイトビジネスとは大きく業態が異なり、塾、セミナーで主に収益をあげている。
アフィリエイトでお金儲けしていると勘違いしている人がほとんどだと思うが、それは生徒を獲得するためのイメージ戦略で、実際は教育関連のビジネス(高額塾、高額セミナー)が収入の主体だった。
与沢翼の成功によって、彼のビジネスモデルは有名になった。
以前から存在したビジネスで、この手法を用いれば少ない手持資金でも短期間で莫大な収益を上げる事が出来る。実際彼はこの手法を用い、アパレル会社を倒産させ手持資金10万円しかないにも関わらず、1年もかからず年収1億円を達成している。
別の記事でも紹介したが、知らない人も多いので、そのビジネスのカラクリを紹介しよう。
倒産後資金もほとんど持っていなかった与沢翼氏はまず日本一のメルマガ発行数を誇る川島和正氏に接触する。そして、川島和正氏のメルマガで、与沢翼氏のメルマガを紹介してもらう事になった。ただし、川島氏は与沢翼氏に条件を出した。
それは
▶ メールアドレス1通の紹介につき600円支払うこと
▶15日締めの翌々月末(75日後)までに、その料金を支払うことというものだった。
単にメルマガを紹介してもらうだけではメルマガの読者はあまり増えないので、有料起業セミナーのファイルをメールアドレスの登録者に無料でつけることにした。結果として、7万人が与沢翼氏のメルマガへ登録する。
与沢翼氏はメール1通につき600円支払う予定であったため、川島和正氏への支払額は4000万円を超えたということを意味する。手持ちはわずか10万円。
そこで彼はこの7万人のメルマガ読者に対して、高額商材の商品を紹介したり、オプトインアフィリエイトで収益を上げていく。
一例をあげれば、30万円の商材を170本も販売したのである(これだけで5100万円の売上)。
結果として、2011年末、つまり前の会社を倒産させてから4ケ月も経たないうちに7000万円のキャッシュを手に入れた。
川島和正氏へもメルマガ紹介から75日を超える前に、約束通り4000万円の支払いを済ませたが、まだ3000万円手元に残っている状態であるし、ドル箱となっている7万人のメールアドレス(いわゆる、リスト)も所有している。
メルマガで更なる収益を上げつつ、ここから与沢翼氏主催の与沢塾(高額セミナー)を行ったり、積極的にメディアに出て知名度を上げて新たな顧客を掴む戦略を取り始める。
そして短期間で、1億円という収入を一気に突破するのだった。
7万人のうち170人なら確率的に0.24%、1000人のうち2人と少しの数である。0.24%という確率でも十分成り立つビジネスなのだから、継続するのは決して難しくはない。
与沢翼氏はこの後大手メディア(テレビなど)にもどんどん露出する事でさらに知名度を上げ、与沢塾第3期に至っては1000本以上売れたとの噂もある。大手メディア広告を使えば日本のほとんどの人へアプローチ出来るだろう。
自分もそこそこの数の電子書籍を販売する事が出来たし、30万円で塾生を20人募集したら、1年でそのくらいの数は集まるかもしれない。
信じられないかもしれないが1本30万円というのは、単純に考えて、1年365日を丸々使い、20人に売っただけでも年収600万円という、東京都の平均年収582万円(平成24年)を超える額なのである。塾というのはそれほど旨味がある商売なのだ。
メルマガで売り込む場合、大事なのは集めたリストを使って、いかに売れる確率を上げるかという点になる。そこから、有名人を使ったり、魅力的な言葉を並べた売り方を考えるのである。「誰でも」「簡単に」「自由に」「会社に縛られない」「場所を選ばない」等よく聞かれる甘い言葉が並ぶのはそういった理由からだ。
高額セミナーというビジネスモデル
こういった高額セミナーによるビジネスが犯罪かと言われればそうは言い難い。より費用がかかる大学受験予備校も同じような方法で授業の売り込み方をする所も実際にはある。予備校も東大コース等を作って生徒を募集したりはしているが、果たして、何%の受講生が目標に到達するだろうか?
結局のところ、本人の努力が足りなかったという点を指摘されたら何も言えなくなるのである。
与沢翼氏が失敗したのはこのビジネスモデルが崩れたからではなく、税金の支払見通しが甘かったのと投資案件で騙されたからである。こういったビジネスは詐欺はもちろん特定商取引法違反で捕まった人さえいないのが現状で、今後もこういったビジネスの市場は拡大していく可能性が高い。わずかではあるが良い塾も存在するわけで、やはり個々の自己責任となる。
読者の皆さんも、自分がこうした高額塾を思いっきり叩いてくれる事を期待したかもしれないが、大学受験予備校を引き合いに出すと必ずしも悪とは言えなくなってしまうのである。
確かに、漫画で描かれているような、ねずみ講的な方法や個人からとことんお金を搾取する仕組みは問題があるが、与沢翼氏自体がそのような事をやっているというのは聞いたことが無い(個別にそういったアプローチはあったのかもしれないが)。
数十万円のセミナーを数百、数千人に売っただけでも十分な利益になるので、それを目的に塾の販売を行なったのだろう。
与沢翼氏の現在
ちなみに、与沢翼氏は所得税が払えず事業が行き詰まり、一時破産などとメディアで騒がれた。今までの事業が行き詰まってからは、「人の本当に役に立つビジネスをしたい」と述べていたが、以前とほとんど変わらない手法で利益をあげている。
現在は高額塾、高額セミナーが主ではなく、メール・アフィリエイトでよく用いられるオプトインアフィリエイトなどが生活を支える大きな収入源となっているとみられる。
派手な稼ぎ方を嫌う日本の国家権力から逃げるためか、住まいも六本木からシンガポールへ引っ越しをした。これなら与沢翼を破産にまで追い詰めた国税も追い掛けては来ないだろう。
マルサ(国税局の査察部)は日本国内にある金融資産は簡単に差し押さえることが出来るが、国外になるとその資産把握が難しくなるからだ。
この辺はホリエモンと違ってずる賢く、やはり個人主義的な思考を持ったわがままな人間の様にも思える。ちなみに、ホリエモンのケースは刑事事件で、東京地検特捜部により起訴された。
前回紹介したイエモの村田マリ社長もシンガポール在住である。
シンガポールという国はこういう人達が稼いだお金で成り立っているのだ。
既にFacebook等ではお伝えしたのですが、来週シンガポールに引っ越します。 引っ越し先はシンガポールでNo1と言われている56階建てのオーチャードレジデンス最上層階です。 日本では皆様にお世話になりました。ありがとうございました。 pic.twitter.com/ziqhTKl0By
— 与沢 翼 (@tsubasa_yozawa) 2014, 12月 11
以前と変わりない派手な生活を送っている模様。
スパム
インターネットが誕生し、電子メールによるやり取りはわずか数年で一気に普及した。
その結果、紙による媒体以上に簡単にかつ少額でメッセージを送る事が出来るため、チラシの多くが電子化され、不特定多数に大量に送られるようにもなった。こういったメッセージはスパムと呼ばれ、ユーザーからは嫌悪の対象となった。
スパムは違法性の高いサイトから楽天といった表面上健全なサイトにあるショップへの誘導まで、現在は幅広く存在している。
元々こうした電子メールによるメッセージスパムが多かったが、現在はその解釈が広がり、「大量かつ迷惑なネット上の存在」をスパムと呼ぶケースも多々見られる。電子メールによるメッセージスパムから変化して、最近ではソーシャルを使ったスパムが急増しているのも利用者の多くが気付いているだろう。
ソーシャルスパム
ソーシャルとはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の事を指し、日本で普及しているものは、主にFacebookやTwitter、LINEなどがあげられる。
メッセージスパムと違いソーシャルスパムの場合はFacebookであれば友達認証、LINEも友達登録をする事でメッセージのやり取りも容易となるため、知り合いを装ったり、綺麗な女性の写真を利用して近づいたりしている。Twitterであればフォローの他、アプリ連携でアカウントをコントロールされるケースが多々ある。
Twitterのアプリ連携
Twitterのアプリ連携は最近特に注意だ。エロ画像を見たがためにリンクを踏み、何か許可を求められた事は無いだろうか?
こうした許可(連携)をすることで、ツイートも相手に許可してしまい、自分のアカウントで卑猥なサイト等へのリンク付きのリツイートを好き勝手にされてしまう事になる。
友人等周りに迷惑をかける前に定期的に連携アプリを確認し、不審なものは連携を解除してい予防策を取る事も大事である。
「設定>アプリ連携」で、定期的に怪しいアプリがないがチェックしよう。
LINEでは去年乗っ取ったIDから登録されている友人へ「ちょっと手伝ってくれませんか?」というメッセージを送り、アップルのプリペイドカードを購入してもらう詐欺が流行った。犯人は反日中国人を装った台湾人説、中国人説があるが、ネット上のこうした犯行は追跡が難しく犯人を追い詰める事は極めて難しいだろう。
上記のような会話によって相手を騙し金品を奪うケースもあるが、ソーシャルスパムは基本的に
▶ ウェブサイトへのリンクをメッセージに乗せて送り、リンク先の商品(中国のコピー商品が多い)を売る
▶ アフィリエイトリンクを踏ませて収益をあげる
▶ ワンクリック詐欺などアダルト動画から高額な額のお金を請求する
上記のようなケースで収益をあげている。
Twitterアカウント大量作成によるスパム
その他ソーシャルではTwitterのアカウントをアフィリエイト目的に大量に作成し、収益をあげている人達もいる。アフィリエイト自体は認められている事だし、スパムかどうかの判断は難しいが、度を越したものは当然そう思われてもしょうがないだろう。
最近もニュースで高校生がTwitterアカウントを8000個作成し、ファミリーマートのキャンペーンに大量応募、ドリンクを70本も当選させた事が問題となった。
この男子高校生がTwitterでその自慢をした事で避難を浴び明るみになったが、明るみにならない不正の方が多いのも事実である。
この事件同様に、法律上の問題となる事も多々あるので、自分を誇示したり、金儲けのために不正な方法に手を染める事は避けてほしいものである。
ソーシャル以外でも2ちゃんねるなど、大量のトラフィックが集まるスレッドにはアフィリエイトリンクを挟んだ外部リンクが貼られる事も多々ある。アフィリエイトリンクを踏むだけなら、自分に料金を請求される事は無いが、そういった姑息な方法で稼ぐ事を許せないと思っている人はリンクは踏まないようにするのが無難だろう。ソーシャル上で収益をあげることが出来ない以上、こういったスパムはリンクを踏ませる事でしか収益をあげる事が出来ないからだ。
スパムを行なっている人とは?
全員が全員そうではないが、メッセージ系スパムを含め、スパムを行なっている人の多くは アダルトサイト関係の人とされる。
ネットショップへのリンクが入ったメッセージを流し、コピー商品などのサイトへ誘導するのは中国・韓国関係の人が多いとされるが、アフィリエイトリンクやワンクリック詐欺などのサイトへは多くのケースでアダルトなコンテンツをおとりにユーザーを誘き寄せているからだ。
コンテンツさえ持っていれば、後はツールを使ったり、入手したリストに対してスパムを送るだけで営業をかける事が出来るだろう。
ネット上にメールアドレスを公開していればツールを使って自動的に収集されるし、元々何かの登録をしていたり、業者間の情報の売買で漏れているケースも有る。
いずれにせよ、向こうからのアプローチ自体を防ぐ事は難しいので、ソーシャルであれば不審なアカウントは変に承認しない、メッセージでリンクが送られてきたとしたら、信頼出来ないリンクは避けるのが無難だ。
ブラックハットSEO
ブラックハットSEOとは、Googleの規約に違反して不正な方法を用い、目的とするキーワードの検索結果で上位表示する技術の事を言う。
Googleにおける検索結果の順位を決めるアルゴリズムは科学論文の評価方式が元になっており、引用回数、ネット上では被リンクの数が重要視される。こうした事実から大量にブログを作成し、上位表示させたいドメインへリンクを貼る不正な方法がサイト運営で収益をあげたい人達の間で用いられ、これをブラックハットという。
ブラックハットの詳しい説明は下記の記事を参考に。
この無料ブログなどを用いて、被リンクを増やすため大量にサイトを作成する行為はSEOスパムと呼ばれ、近年ではこうしたスパム用のブログはサービスを運営する会社の厳しい取締りを受けている。
SEOスパムはブログサービスの運営会社の主な広告主であるGoogleから厳しく取り締まるように催促されているからだ。
そういえばアメブロのSEOスパムへの対応強化をしてそろそろ1年になる。実は、このフィルターはどんどん厳しくしているし、新しいものにも対応させてる。直近でも2段階くらい厳しいヤツ行きますんで、よろしくお願いします。 過去のものにも対応しなきゃなあ。道のりは長い・・・。
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) 2014, 8月 19
サイバーエージェントのアメーバ事業本部Ameba マーケティング&テクノロジー室SEO戦略グループマネージャー木村氏、「通称アメブロのキム兄」。
GoogleはこうしたSEOスパム用のブログを
▶ 検索結果を荒らすとという点
広告を出稿している事から
▶ 広告主のクレームにもなり得るという点
で非常に嫌っている。
不正な方法による上位表示はGoogleだけでなく、そのサービスを利用するユーザーの不利益にもなり兼ねないだろう。
ただ、ブラックハットに関する記事でも述べたように、最近はこうした大量のブログを作成し、そこからリンクを張る行為だけではなかなか上位表示が出来なくなっている。近年はコンテンツやユーザーのアクション、リンクの質も判断材料に多く入れるようになったからだ。
Googleがどのようなアルゴリズムで上位表示する記事を決めるか?
この点はキーワード毎に手動で決めるのは不可能なので、必ず法則に従って自動的に決められている。コンテンツ100%重視で外部評価の偽装によるSEO対策が無くなる事は今後も無いだろうが、評価の高い中古ドメインによるものはともかく、SEOスパムのための大量の無料ブログ作成は労力に見合わないと見てほぼ間違いないだろう。
以上アフィリエイト業界の闇とも言える不正なアフィリエイトの分野において、その稼ぎ方の仕組みを「自己アフィリエイト、パクリサイト編」「高額塾・高額セミナー、スパム編」と2回に分けて暴露していった。
ビジネスというのは営利を目的としている以上、稼ぐ事自体はなんら問題は無い。また稼ぐ上で全ての人が得をするようなビジネスというのは極めて少なく、営利活動を行う上で周りに多少の迷惑をかけてしまう事も多少はやむを得ないとは思う。
しかし、稼ぐ事に重点を置きすぎて、その迷惑があまりに度を超えていたらそれは社会的にも大きな不利益となる。今回取り上げた4つはアフィリエイト関連ビジネスの中でも迷惑をかけている部類のもので、比較的新しいものを紹介した。
歴史的に見ても、社会に良い影響を与えない営利活動というのは長くは続かない。お金を稼ぐための手段としてしか見ていないのかもしれないが、その先にある社会的な影響も一度考えて見てほしいと思う。