アフィリエイトには物販からサービスの成約まで様々な種類があるが「無料オファー」というジャンルがあるのはご存知だろうか?
無料オファー・アフィリエイトとは?
無料オファー・アフィリエイトとは成果報酬型広告のいちジャンルで、報酬の発生がメールアドレスを登録した時点という早いことに特徴がある。商品やサービスの購入が条件ではなく、メールアドレスの登録というユーザーがお金を払うよりも容易に行動を起こしやすい条件になっているのだ。
しかも、メールアドレス1通の登録だけで発生する報酬は300円から高いものでは1500円といったものまでまり、アフィリエイターにとっては比較的稼ぎやすいという特徴がある。
無料オファーの報酬が高い理由
では、なぜ無料オファーアフィリエイトはメール登録だけで数百円以上の報酬を約束しているのだろうか?理由はここで得られるメールアドレスという「リスト」が非常に価値のあるものだからである。
無料オファーは大体が稼げる、モテるノウハウの提供を条件にメールアドレスを登録する。ユーザーがこれに登録すると、様々なメールが届くようになる。ノウハウの他にも、同業他社の同じ無料オファーや情報商材、有料セミナーまであり、中には販売額が数十万円以上の商品もある。
もし、メール1通300円として、100万円の広告費を出せば、単純に考えれば3333人のメールアドレスが手に入る。そのうちの1%(33人)が1万円のセミナーに出席すれば33万円の売り上げがあるし、1000円の商材が100人に売れれば10万円の売り上げになる。
もちろん、メールアドレス(リスト)は半永久的に有効である。数回にわたり商品やセミナーの売り込みをすれば数か月で広告費分の100万円は十分に回収できるというわけだ。
与沢翼が4ケ月も経たないうちに7000万円のキャッシュを手に入れた時もこの手法を使っている。
無料オファー・アフィリエイトの問題点
ただ、無料オファーは2つの視点から問題が生じる。それはメールアドレスを登録したユーザー側の視点と無料オファーを紹介し報酬を得るアフィリエイターからの視点である。
メールアドレスを登録したユーザー
無料オファーは「稼げる系」「モテる系」等のノウハウをエサにユーザーにメルマガ登録をしてもらうが、上でも述べたように、このメルマガではノウハウを教える情報だけでなく、高額塾やツールなどのピーアール(広告)も入って来る。ここで紹介される高額塾が金額を伴わない酷いものという声が多々上がるのだ。
また、返金保証があってもその返金の要件が厳しすぎて認められなかったり、実際に返金がなされないケースも多々ある。もちろん全てではないが、こうした塾で支払った額だけの価値を伴わないとのクレームはネット上に溢れている。
無料オファーを紹介するアフィリエイター
無料オファーの案件を扱うASPは50~100程度存在するのだが、報酬支払の面で様々な問題が起きている。
例えば、報酬の承認率が非常に悪かったり、承認率が高くても報酬の支払いがなされないというケースである。アフィリエイターにメールアドレスの回収をタダでやらせて、報酬の支払を渋るASPは数多く存在するのである。
確かに、アフィリエイターの場合、案件を紹介するにあたって費用などのリスクはないが、労力が無駄になるのは許せないだろう。
また、最近は大手の無料オファー系ASPであるMTSアフィリエイトセンターを運営する株式会社MTSが倒産した。報酬の支払い債務は残したままで、すでにサイトも閉鎖させるなど逃げる早さに驚きの声が上がっている。
ただ、MTSにかんしては1年程度前から怪しい動きをしていたのは事実である。まず、報酬の支払日を2週間程度遅らせている(毎月10日から25日へと変更)。これはキャッシュの保有期間を増やしたいがための変更だろう。そしてアフィリエイターには高額商材の購入を条件にスーパーVIPとして報酬額を増やすなどの勧誘も行われていた。しかし、アフィリエイターの多くはVIPの恩恵を受ける前に、報酬の支払が止まっているはずだ。
こういった報酬を支払わない、ASPの倒産といったリスクをアフィリエイターは負う必要がある。無料オファーアフィリエイトを行うにしても、信頼性の高い無料オファーのASPに登録する必要があるだろう。
アフィリエイトの闇「無料オファー」は悪か?
こうしたリストを取得して販売を行うビジネスが批判されるのは、高額塾やツールが価格を伴わない内容、ノウハウという点だろう。この点は全てではないが、ほとんどの高額塾にあてはまるかと思う。
また、リストに入れられている人へはたくさんの勧誘メールが届き、その心を揺さぶる事で何度も販売しようとする。ここからノウハウコレクターと呼ばれ、ノウハウを知っても実際にそれを活かせていない人達を生んでいるのも事実である。
闇金ウシジマくんでも、この高額アフィリエイト塾販売の闇については触れられている。
ただ、こうした販売方式はアフィリエイト関連商品に限らないのはご存知だろうか?オレオレ詐欺などでも一度騙せた人はリストに入れられて何度もアプローチされ、絞り取れるだけ絞り取られる。ダイエットなどコンプレックス系の商品・サービスも同様である。
更に言えば、楽天やAmazonなどで表示されるおすすめも、こうした消費行動に結び付けてプッシュをかけてくる。
ライフスタイルと同様に、人間が消費習慣を変えるのは容易な事ではない。こういった弱みを抱えているのが、いわゆるリストに入った人達なのである。
また、価格を伴わない高額塾も大学受験の予備校等では普通に行われている。浪人生を対象にして「東大合格コース」「早慶合格コース」等といった商品を販売しているが、このコースを受講した何%の人が目標に達成しているだろうか?
目標に達成しなかったとしても、結局本人の努力が足りなかったとして丸め込まれているのが事実だろう。年間100万円以上を支払っているにもかかわらずである。額で言えば、アフィリエイト塾よりも高額で、弱みに付け込んだ部分があることは否めないはずだ。
結局、消費行動を変える柔軟性が無い人は、無料オファーで紹介されるアフィリエイトに限らず、何かしらの形で付加価値を付けた商品を買わされているという現実がある。アフィリエイトにおけるこういった部分を悪とする事は否定しないが、これを悪と定義すれば、世の中のほとんど全ての商品がこうした要素を持つことを肯定しなければならなくなる。
価値を伴わない商品かどうかの判断は非常に難しい。アイドルとの握手だけに価値を見出して多額の費用をかける人も存在する時代である。高額なインテリアや車、ジュエリーもそうだ。
消費というのは他人から見て大きくズレが生じるのは何ら珍しい事ではない。こうした世間とのズレを生みたくないなら、新しい情報を常に取り入れ、客観的に評価し、消費行動を常に改善していかなければならないだろう。