日本では、関東は「東京電力」、関西は「関西電力」などと各エリアごとに家庭へ電気を小売販売する電力会社が決まっていた。しかし、2016年4月1日に始まった電力自由化以降、消費者も電力会社を選択できるようになった。
一般送配電事業者(東京電力、関西電力などの既存事業者)を含め、2019年10月現在、約600社の小売電気事業者から選択できるようになっている。今では約2割の家庭や事業主が小売電気事業者の変更をしている。逆に言うと、約8割が電力会社の変更をせず、関西エリアでもそのまま関西電力を使っている人がほとんどとなっている。
一般送配電事業者よりもオトクな小売電気事業者としては基本使用料が無料の楽天でんきやLooopでんき
などがある。これらの安い電力会社へ変更するだけで年に1万円以上も電気料金が下げられる可能性がある。
電力会社の変更は電気代の節約以上に、電気代を下げられる楽な方法だ。
関西に住んでいる人は関西電力が話題になっている今の時期にでも、関西電力からの変更を検討すべきだ。
この記事では関西の家庭向け電気サービスにおいて、おすすめの電力会社、プランを知りたい人に
▶ 関西電力の料金プラン
から
▶ 関西電力と他の小売電気事業者(楽天でんき、Looopでんき、ENEOSでんき)との料金比較
▶ 電力会社における割引・特典比較
まで詳しく述べていきたいと思う。
関西電力の料金プラン
電気料金は
「単価に使用量をかけた従量料金」+「月額の基本料金」
が軸で、これに
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
「燃料費調整額」
を考慮した額で最終的に決定する。
「単価」や「基本料金」は電力会社によって異なり、これらの料金で電力会社ごとに電気代の差が出る。
「単価」や「基本料金」が異なる関西電力の家庭向け料金プランとしては
1.従量電灯A
2.eおとくプラン
3.eスマート10
4.はぴeタイムR
5.なっトクパック
の5つがある。
従量電灯A、eおとくプラン
関西電力エリアに住む家庭で、従来から契約の変更していない人は関西電力の「従量電灯A」を利用している。関西電力の従量電灯Aは使用量によって料金単価が3段階に変化する。料金単価は下記のようになっている。
従量電灯Aの料金プラン(従量電灯A|関西電力より)
電気の使用量によっては「eおとくプラン」もしくは「eスマート10」へ契約も変更すべきだ。
関西電力の目安では
従量電灯A:月5000円未満(200kWh未満の使用量)
eおとくプラン:月5000円から1万8000円(200kWhから599kWhの使用量)
eスマート10:月1万8000円以上(600kWh以上の使用量)
となっている。
eスマート10、はぴeタイムR
eスマート10、はぴeタイムRのプランは使用量ではなく、デイタイム(昼間時間)、リビングタイム(生活時間)、ナイトタイム(夜間時間)で料金単価が変わるプランである。
デイタイム(昼間時間)
平日午後1時~午後4時(eスマート10)
平日午前10時~午後5時(はぴeタイムR)
リビングタイム(生活時間)
平日午前8時~午後10時(eスマート10)
平日午前7時~午前10時および午後5時~午後11時の時間ならびに休日扱い日の午前7時~午後11時(はぴeタイムR)
ナイトタイム(夜間時間)
毎日午後10時~翌日午前8時(eスマート10)
毎日午後11時~翌日午前7時(はぴeタイムR)
特にはぴeタイムRは一人暮らしの会社員等で平日の昼間、ほとんど電気の利用をしない人にオトクなプランになっている。ただし、10kWhまでの基本料金は2160円と高めだ。
はぴeタイムRの料金プラン(はぴeタイムR|関西電力より)
従って、電気使用量が少ない一人暮らしの会社員よりも、夜間の使用量が多い、家で夜間活動時間の長い人向けプランと言えるだろう。
なっトクパック
また、電気だけでなく、ガスも自由化よりガス小売事業者を選べるようになった。大阪ガスのエリアで都市ガスを利用している人は「関電ガス」への変更もできる。関電ガスも関西エリアのみでサービスが提供されている。
電気は関西電力、都市ガスを関電ガスで契約すると「なっトクパック」へ加入でき、こちらではガス料金、電気料金の割引を受けられる。
電気料金は従量電灯Aから更にオトクな料金単価になっている。
なっトクパックの料金プラン(なっトクパック|関西電力より)
従量電灯Aに比べ、120kWhから300kWhまでは6.6%安く、300kWh以上では5.1%料金単価が安くなっている。
関西電力と他の小売電気事業者(楽天でんき、Looopでんき、ENEOSでんき)との料金比較
電気料金は上でも述べたように、
「単価に使用量をかけた従量料金」+「月額の基本料金」
が軸で、これに
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
「燃料費調整額」
を考慮した額で最終的に決定する。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり2.95円となっている。これは電力会社間で差がない。
燃料費調整額は大きな調整はなく、使用料金のうち1%弱がプラスもしくはマイナスされる。
従って、下記でも「単価」や「基本料金」で各電力会社の料金を比較していきたいと思う。
ENEOSでんき、楽天でんき、Looopでんきの「単価」や「基本料金」
ENEOSでんきは関西電力と同じように最低料金として15kwhまで285円が設定されている。また、15kwh以降の料金単価も3段階に変化している。
ENEOSでんきの関西エリアにおける料金単価は
ENEOSでんき:15kWhまで285円
15kWhから120kWhまでは1kWhあたり19.94円
120kWhから300kWhまでは1kWhあたり23.56円
300kWh以上は1kWhあたり26.31円
となっている。
楽天でんきやLooopでんきは基本料金が無料である。最低料金もない。
また、関西電力のように使用量による料金単価の変化もない。つまり、1kWhあたりの料金単価は一律で、料金も使用量に比例する。
楽天でんきおよびLooopでんきの関西エリアにおける料金単価は
楽天でんき:1kWhあたり22.5円
Looopでんき:1kWhあたり22.4円
となっている。
関西電力とENEOSでんきの料金比較
関西電力と関電ガス契約者のみが加入できる「なっトクパック」とENEOSでんきの「関西Aプラン(にねんとく2割)」で料金の比較をすると下記のようになる。
関西電力 「なっトクパック」 |
ENEOSでんき 「関西Aプラン(にねんとく2割)」 |
|
最低料金 15kWhまで |
285円 | 285円 |
15kWh から 120kWh |
1kWhあたり20.31円 | 1kWhあたり20.11円 |
120kWh から 300kWh |
1kWhあたり24.10円 | 1kWhあたり23.79円 |
300kWh以上 | 1kWhあたり27.8円 | 1kWhあたり26.60円 |
なっトクパックでは2019年12月20日までの申込みで電気料金が2ヶ月間10%OFFになるキャンペーンも行われている。
ENEOSでんきのにねんとく2割は2年以上利用の契約で受けれる割引になる(にねん とく2割|ENEOSでんきより)。
15kWhまでは関西電力(なっトクパック)およびENEOSでんきは同じ料金で285円となっている。120kWhまで使うと
・関西電力(なっトクパック)=15kWhまで285円
20.31円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2132.55円
合計 2417.55円(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「燃料費調整額」除く)
・ENEOSでんき(関西Aプラン)=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
合計 2396.55(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「燃料費調整額」除く)
となる。
つまり、120kWhの利用ならENEOSでんきの方が21円安くなる。夏、冬を除くと、一人暮らしではこのぐらいの料金になるだろう。
料金単価を比較してもわかるように、月に120kWh以降は使えば使うほど、関西電力の方が高くなる。
例えば、5人家族でもしくは1人暮らしで夏および冬場に1ヶ月500kWh使用したとすると
・関西電力(なっトクパック)=15kWhまで285円
20.31円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2132.55円
24.10円(にねんとく割)×180(120kWhから300kWhまで)=4338円
27.8円(にねんとく割)×200(300kWhから500kWhまで)=5560円
合計 1万2315.55円(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「燃料費調整額」除く)
・ENEOSでんき(関西Aプラン)=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
23.79円(にねんとく割)×180(120kWhから300kWhまで)=4282.2円
26.6円(にねんとく割)×200(300kWhから500kWhまで)=5320円
合計 1万1998.75円(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「燃料費調整額」除く)
つまり、500kWhの利用ならENEOSでんきの方が316.8円安くなる。1年では約3800円になるため、関西電力よりもENEOSでんきの方がおすすめである。
ENEOSでんきと楽天でんきの料金比較
ENEOSでんきの「関西Aプラン(にねんとく2割)」と「楽天でんき(プランS)」で料金の比較をすると下記のようになる。
ENEOSでんき 「関西Aプラン(にねんとく2割)」 |
楽天でんき 「プランS」 |
|
最低料金(基本料金) |
285円 | 0円 |
最低料金 (15kWhまで) |
285円 | 1kWhあたり22.5円 |
15kWh から 120kWh |
1kWhあたり20.11円 | 1kWhあたり22.5円 |
120kWh から 300kWh |
1kWhあたり23.79円 | 1kWhあたり22.5円 |
300kWh以上 | 1kWhあたり26.6円 | 1kWhあたり22.5円 |
楽天でんき(プランS)は家庭向けの料金プランである(電気料金プラン|楽天でんきより)。
関西エリアにおいて、1人暮らし、夏と冬以外で30Aで1ヶ月に120kwh、「にねんとく割」で利用したとすると
ENEOSでんき=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
285円(最低料金)+2072.7円=2396.55円
楽天でんき=22.5×120=2700円
以上のようにENEOSでんきの方が1ヶ月303.45円安くなる。
5人家族でもしくは1人暮らしで夏および冬場に1ヶ月500kWh使用したとすると
ENEOSでんき=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
23.79円(にねんとく割)×180(120kWhから300kWhまで)=4282.2円
26.80円(にねんとく割)×200(300kWhから500kWhまで)=5360円
285円(最低料金)+1万1753.75円=1万2038.75円
楽天でんき=22.5×500=1万1250円
以上のように楽天でんきの方が1ヶ月788.75円安くなる。
ENEOSでんきよりも楽天でんきの方が
使用量120kWhでは1年で3641.4円
使用量500kWhでは1年で9465円
も安くなるのだ。
楽天でんきは基本料金も無料なので、広い範囲でENEOSでんきよりも安くなる。毎月の電気使用量がわかる人は下記サイトからシュミレーションもできる。
料金明細を見ながらシュミレーションしてみよう。
関西エリア以外も含んだENEOSでんきと楽天でんきの比較については下記記事も参考に。
また、基本料金が0円の電力会社としては楽天でんきの他に、やLooopでんき
もある。楽天でんきとLooopでんきを1kWhあたりの料金で比べると
楽天でんき:1kWhあたり22.5円
Looopでんき:1kWhあたり22.4円
とLooopでんきの方が若干(0.5%)安い。
ただ、電気料金を比べる際には、電気料金以外の割引や特典も考慮する必要があるだろう。これらを考慮すれば楽天でんきが最強の電力会社と言える。
電力会社における割引・特典比較
電力自由化では、電気以外のサービスでも各社が差別化を行っている。
関西電力なら関電ガスとのセット「なっトクパック」によりガス料金の3%割引が受けられる。また、電気料金、ガス料金に対してポイントが貯まり、このポイントで電気料金の支払、他社ポイントへの交換もできる。
ENEOSでんきと楽天でんきでも電気料金に対して、ポイントの付与がなされる。加えて、楽天でんきではポイントによる電気料金の支払ができる。
それぞれ下記で詳しく紹介していく。
関西電力における割引・特典
関西電力と関電ガス契約者のみが加入できる「なっトクパック」では2ヶ月間電気料金が10%OFFになるキャンペーンも行われている。
なっトクパックでは電気料金の割引だけでなく、ガス料金の割引も受けれる。
関電ガスは大阪ガスよりも基本料金、従量料金が安い。
大阪ガスと関電ガスの基本料金、従量料金の比較(なっトクパック|関西電力)
上記価格に加えて、関西電力と関電ガス契約者のみが加入できる「なっトクパック」なら
・毎月のガス料金が3%割引
を受けられる。毎月ガス料金が5000円の家庭なら150円割引となる。
また、はぴeみる電で電気料金、ガス料金の確認をすると、はぴeポイントが付与される。付与される1000円あたりのはぴeポイントは契約プランによって異なり、下記のようになっている。
付与されるポイント |
|
関西電力 (従量電灯A、B) |
1000円(税込み)につき3ポイント |
関西電力 (はぴeタイム、はぴeタイムR、なっトクでんき、eおとくプラン、 |
1000円(税込み)につき8ポイント |
関電ガス (なっトクプラン、なっトクプランO、なっトクプラン(eo割)、 |
1000円(税込み)につき5ポイント |
はぴeポイントは100ポイント100円として電気料金の支払に使えたり、Tポイントといった他のポイントへの交換もできる。
はぴeポイントについて詳しくは下記記事を参考に。
ENEOSでんきと楽天でんきで受けられる割引・特典比較
ENEOSでんきでは電気料金200円につきTポイントが1ポイント貯まる。
楽天でんきも電気料金200円につき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まる。楽天ポイントは投資信託の購入だけでなく、クレジットカード、デビットカードの支払にも使える。日本で最強のポイントと言えるだろう。
また、楽天ポイントでは電気料金の支払もできる(TポイントではENEOSでんきの支払はできない)。しかも、他で貯めた期間限定ポイントも利用できる。この点が楽天経済圏で暮らす人にとって、楽天でんきを選択すべき最大の理由となっている。
期間限定ポイントは楽天でんきだけでなく、楽天モバイルの支払にも使える。固定費での利用が期間限定ポイントの価値を最大に高められる。
料金の点では広い範囲の使用量でLooopでんきが最安値になっていた。しかし、楽天ポイントを貯めやすい環境にある人はENEOSでんきや関西電力はもちろん、Looopでんきよりも楽天でんきがおすすめである。
楽天でんきの特徴について更に詳しく知りたい人は下記記事を参考に。