KyashはVISAブランドのプリペイドカードである。Kyashを通す設定をするだけで消費額の1%還元がプラスされる画期的なサービスなため、ネット上で大きく話題になった。しかし、話題になるに連れ、Kyashは不正利用の補償がなされないといった噂も流れ始めた。
この不正利用について真意を確かめるために、Kyashへ連絡したところ、
・「アカウント情報の管理不十分による」不正利用については適切に対応する(≒補償される)
・カード情報を第三者へ開示するなど、利用規約第3条第7項に該当すると判断される場合は損害の補償ができない(≒利用規約第3条第7項に該当しなければ損害の補償をする)
との回答を得ている。
ただし、Kyashリアルカード特約では
・盗難等による損害の責任は負わない
との規定がある。従って、リアルカードの「盗難」「紛失」に気づいた場合は、すぐにアプリでカードをロックし、Kyashへと連絡すべきだ。
この記事では
▶ Kyashにおける不正利用での補償
について規約から実際の運用まで、Kyash側の見解とともに紹介し
▶ Kyashの不正利用に対する防衛策
を含めて詳しく述べていきたいと思う。
Kyashにおける不正利用での補償
クレジットカードは紛失・盗難されたり、番号を読み取られることで不正に利用されても、この金額は原則としてカード会社が補償してくれる。つまり、クレジットカード利用者に不正利用の分は後日請求されない。
Kyashと同じプリペイドカードのLINE Payにも規約に「不正利用については10万円まで補償」「10万円以上は個別に対応」と明記されている。しかし、Kyashにはこの補償額についての明記が無く、下記のような表記がなされている。
Kyashプラットフォーム利用規約 第3条 ユーザー登録及びアカウント情報
7.アカウント情報の管理不十分による情報の漏洩、使用上の過誤、第三者の使用、不正アクセス等による損害の責任はユーザーが負うものとし、弊社は一切責任を負わないものとします。また、アカウント情報が不正に利用されたことにより弊社に損害が生じた場合、ユーザーは当該損害を賠償するものとします。
利用規約等 - KyashKyashに関するサービスの利用規約、特約等はこちらをご参照ください。
上記「アカウント情報の管理不十分による」がどこまでかかっているかが曖昧だったため、不正利用について問い合わせをしたところ下記のような回答を得た。
身に覚えがない利用履歴、不正利用の疑いがある際は該当のお取引詳細より「取引番号」をコピーした上でこちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。内容を調査した上で適切に対応させていただきます。
なお、カード情報を第三者へ開示するなど、利用規約第3条第7項に該当すると判断される場合は損害の補償ができない場合がございます。
つまり「アカウント情報の管理不十分による」不正利用の補償については
・適切に対応する(≒補償される)
・カード情報を第三者へ開示するなど、利用規約第3条第7項に該当すると判断される場合は損害の補償ができない(≒利用規約第3条第7項に該当しなければ補償の保証をする)
と解釈できる。ただし、はっきりといくらまで補償するとの回答は得られなかった。
Kyash「リアルカード」の盗難、紛失からの不正利用について
Kyashリアルカード
Kyashはバーチャルカードと呼ばれるアプリ上のデジタルカードの他に、リアルカードによる決済もできる。こちらはクレジットカードと同じように、リアル店舗での支払時、カードをレジで渡して支払ができる。
「アカウント情報の管理不十分による」不正利用の補償については、上記のような補償の可能性も十分にあった。しかし、Kyashリアルカードを盗難、偽造、紛失等その他の事由により第三者に不正利用された場合は損害の責任を負わないと、Kyashリアルカード特約へ明確に規定されている。
Kyashリアルカードの盗難、偽造、紛失等その他の事由(以下、まとめて「盗難等」 といいます。)によりKyashリアルカードが第三者に不正利用された場合、当該不正利用が次項の通知後か否かにかかわらず、ユーザーに損害が生じた場合であっても、弊社は責任を負わないものとし、ユーザーはそのKyashリアルカードの利用代金についてすべて支払いの責を負うものとします。
従って、リアルカードの盗難等に気づいた場合は、すぐにアプリからカードをロックすべきだ(ロックの方法については後述)。
ロックしないと、Kyash残高が残っている場合、クレジットカードによる自動チャージが有効なままでは1ヶ月最大で12万円まで損害を被る可能性がでてくる。
不正利用は実際に起っている話か?
このようにリアルカードの盗難、紛失等では補償がなされない。では、不正利用については頻繁に起こっている話だろうか?
Kyashのリアルカードが盗難等された場合、不正利用に対する補償はない。ただし、クレジットカードと同様に、たまたまカードを拾った人がリアルカードを使って不正利用する可能性は極めて低い。なぜなら、リアル店舗で盗難したクレジットカードを使った場合はもちろん、ネット上でも偽名を使わない限り、すぐに足がつくからだ(もちろん、こうした事実を知らずに不正利用する人が出てきたり、不正利用目的でプロが盗難する可能性は否定できない)。
また、Kyashは24時間あたりの利用限度額が5万円以下、1ヶ月間での利用限度額が12万円以下になっている。従って、24時間以内に気づけば被害は5万円にまで抑えられる。
不正利用について調べてところ、不正利用されたという事実の代わりに、興味深い声を多数見つけることができた。それは「Kyashが利用停止させられた」という声である。
不正利用は見つけられなかった。しかし、利用停止についてはソーシャルで多数確認できた。
kyash、一時停止になりました。原因がわかりません。
— ゆうたん@ガジェット垢 (@yuutangadget) February 17, 2019
kyash アカウント停止されて問い合わせてそろそろ10日。いい加減第一報でも入れてくれればいいのに。便利だったのにこんなんじゃ使い物にならないし周りにもお勧めできない。はあ。
— yoh (@iszk) February 21, 2019
01月26日より利用停止になっていた #Kyash、昨日02月20日に利用再開。正当な利用だったけれども不利利用検知装置が作動して停止に。調査の結果、問題無しと。
— やっすぃ (@imatsubuyaita) February 21, 2019
Kyashの利用を停止された人は当然不快感を表明しており、Kyashというサービスに不信感を抱いている。
金銭的な損害が無くとも、お得だと思って使い始めたKyashの利用が出来なくなれば、当然腹立たしいだろう。ちなみに、この不正利用について、一部ではPayPay経由によるものとの憶測もある。
いずれにせよ、予期せぬサービス停止を受けた人が「Kyashは不正利用されやすい」といった別の見解を広げた可能性はあるだろう。
Kyashの不正利用に対する防衛策
プロに盗まれるなど、偽名でも使わない限り、カードの不正利用は足がつく。その上、利用限度額の制限があるため、不正利用を1ヶ月以上放置しない限り、大きな被害は生じない。ただ、数万円でも損失は避けたいはずだ。
リアルカードを紛失した場合でも
1.スマホ(Kyashのアプリ)は紛失していない(リアルカードのみを紛失した)場合
2.スマホ(Kyashのアプリ)およびリアルカードを紛失した場合
いずれかによって、対策が異なる。また、
3.Kyashの不正利用に対する「事前」防衛策
については事前に頭へと入れておくべきだ。
下記でそれぞれ詳しく紹介していく。
スマホ(Kyashのアプリ)は紛失していない場合
スマホ(Kyashのアプリ)は紛失しておらず、リアルカードだけ紛失した場合はアプリ上でカード利用を止められる。
Kyashアプリの「ウォレット」画面でカードをタップする。
カード画像をタップすると下に「カードを一時ロックする」の項目がある。ここを有効にすれば良い。
リアルカードのみを紛失し、見つかるまではカードの利用をロックしておいた方が良いだろう。
紛失したカードが見つからない場合、下記でも紹介するリクエストからKyashへと連絡もしよう。
スマホ(Kyashのアプリ)およびリアルカードを紛失した場合
リアルカードを紛失し、Kyashアプリの操作もできない場合は運営会社に連絡して止めてもらうしか無い。
電話での対応はなく、現状下記のリクエスト・フォームでしか対応していない。
電話などでの対応はしていないため、別の端末からログインし、カードの利用を止めた方が早いだろう。
Kyashのアプリ自体は2つ以上の端末からログインできる。ログイン自体もメールアドレスとパスワードだけである。
従って、
1.普段からKyashのアプリに2つ以上の端末でログインしておく
2.メールアドレスとパスワードのメモを残しておく
などの対策は有効である。
また、Kyashにリクエストを送る際にも役立つので、Kyashのアカウント情報
1.ユーザー名
2.Kyash ID
3.本名
4.登録メールアドレス
5.電話番号
もどこかへ残しておくべきだ。
「アカウント」>「アカウント設定」で見れる情報。
Kyashの不正利用に対する「事前」防衛策
不正利用が怖い人はまずアプリの「通知」をオンにしておこう。通知をオンにしておけば、Kyashの支払が行われるとすぐにスマホへ通知が来る。見覚えのない利用が生じた場合も、すぐにカードの停止ができる。
通知はKyashアプリから「アカウント>通知設定>取引に関するお知らせ」でオンにできる。
また、パスコードを設定すればスマホも一緒に紛失したとしても操作できない。パスコードの設定はKyashアプリから「アカウント>パスコード設定>パスコード要求時間」を「常に要求」にすれば良い。ちなみに、指紋認証が使えるスマホなら、指紋認証でのロック解除もできる。
さらに心配な人はアプリから自動チャージ設定をオフにしておこう。利用分の範囲でその都度チャージしていくやり方である。パスコードがわからない限り、チャージ金額以上の不正利用を防げる。
自動チャージ設定の下ではクレジットカードにより、金額を指定したチャージができる。
カードを選択する
金額分をKyashへ入れて、チャージの範囲で利用が可能となる。自動チャージの設定をオフにすると、チャージの範囲でしか決済できない。もちろん、これも1%ポイント還元の対象だ。
Kyashやスマホを落としたり、カード情報を読み取られることによる不正利用はこれらの対策である程度防止できる。
また、日常での決済は楽天ペイなどのスマホ決済でも代用できる。Kyashは家でのネットショッピングのみで使うなど、リアルでの利用頻度が低い人は持ち歩かない。持ち歩きたい人も、その都度チャージする形で良いだろう。
加えて、Kyashで不正利用の補償がなされなかったとしても、紐付けされてるクレジットカードでの補償はあり得る。例えば、Kyashを経由して楽天カードが使われた場合の補償について問い合わせたところ
万が一、不正に利用されていることが判明した場合は、所定の手続きと調査のうえ、会員様に重大な過失がないと判断した際は、会員様に被害額をご負担いただくことはございません。
との回答を得ている。つまり、Kyashで補償がなされなくとも、紐付けされてるクレジットカード会社が補償してくれるケースがある。
デビットカードにおいても各銀行は条件によって補償が認められている。デビットカードにおける補償から不正利用対策については下記記事を参考に。
海外で多いスキミングなどは意識していても不正ぐのは難しいかと思う。ただ、Kyash自体は海外での利用が原則不可である。また、落として使われたら返って来ない現金よりも、持ち歩く分には、Kyashの方がよっぽど安心だと個人的には思うのである。
日常の決済でKyashを通せば通すほど、生活が豊かになっていく。Kyashを通すと生活が豊かになる理由については下記記事を参考に。