最近は「バンコクの物価は日本を越えた」などと良く言われている。こうした情報が多いと、タイに住んだことが無いどころか、行ったことも無い人はどの情報を信じたら良いかわからなくなるのは当然だ。
本当にバンコクの物価は日本を越えたのか? 今回は自分の経験だけでなく、現地の友人から得た情報も組み入れて、月10万円を想定した日本、タイにおける生活について出来る限り詳しく客観的に述べていきたいと思う。
最初に「日本、タイで月10万円で暮らすことを考えた」家賃、食費、光熱費、通信費をまとめて紹介すると
▶ 日本での一ヶ月生活費
家賃 1.5〜2.5万円
食費 3〜4万円
光熱水道代 0.8〜1.2万円
通信費 0.6〜1.5万円
その他
計 5.9万円〜+その他
▶ タイでの一ヶ月生活費
家賃 0.5〜3万円
食費 3〜5万円
光熱水道代 0.6〜1万円
通信費 0.6〜1万円
その他
計 4.7万円〜+その他
その他の費用として、交際費、交通費、タイでの生活ではビザ代などが長期滞在では必須となる。また、年収120万円でも、所得税や国民年金・国民健康保険料は支払わなければならないケースがある。
下記では更に詳しく述べていきたいと思う。
※なお、今回紹介する生活費は一人当たりの額で想定している。
日本とタイの家賃
▶ 日本 1.5〜2.5万円
「月1.5〜2.5万円の家なんてどうせ風呂無しだろ?」
と思う人も多いだろう。しかし、この額は風呂有の条件でも可能だ。
しかも、東京、東京寄り神奈川、埼玉以外なら、月2万円で風呂有りアパートを見つける事はそこまで困難な事では無い。大阪にもあるし、現に自分が住んでいるところも2万円程度だ。
とことん安い家を探した事がある人は知っていると思うが、田舎なら月2万円で一軒家も借りれる。比較的栄えている県庁所在地の高知市内でも、管理費等込月2万円以下の物件はこんなにある。
【Yahoo!不動産】高知県の賃貸マンション・賃貸アパートより
比較的便利な高知市内、管理費込で月2万円以下。駅から徒歩10分以内の好立地物件。ヒット数は8件。
フリーランス等、ネットがあれば出来る仕事なら田舎へ行くのもありだ。特に女性の場合は、大阪の月2万円の家よりも田舎の月2万円の家の方がセキュリティ上も良いだろう。
家賃の安い市町村についてはは下記記事を参考に。
ちなみに、無職はもちろん、自営業者やフリーターだと物件によっては借りれないケースもある。この点に関しては無職でも家を借りる方法も参考に。
▶ タイ 0.5〜3万円
タイの場合、バンコクのBTS(バンコク・スカイトレイン)が通る中心地にも月3万円出せば何とか住むことが出来る。BTSはスクンビット界隈を中心にバンコクの主要なエリアを結ぶ公共交通機関である。
スクンビット界隈は東京で言えば新宿、大阪で言えばキタ(大阪駅、梅田駅周辺)があてはまるバンコクの中心地、繁華街である。
バンコクのBTS
BTSサイアム駅。サイアムは若者の街で、東京で言えば渋谷のような街。正面の広告はOISHI(美味しい)ブランドの日本っぽい広告。
立地や築年数にもよるが、月3万円なら日本人も十分に住める物件だ。
例えば、バンコクの中心地(ナナ駅やアソーク駅)までBTSで10分程度、オンヌット駅周辺の家だとこういうものがある。
7500バーツ(日本円で約2.7万円)。26平米、WiFi付(en.9apartment.comより)。
ただ、タイではまだまだ一人暮らし用の物件は少ない。月6万円ぐらいの物件に2人でシェアする方がセキュリティ的にも、住む場所の幅が広がるという意味でもオススメだ。
フリーランスとして食べていきたいなら、同じ志を持つ人を募集してみてはいかがだろうか?
16000バーツ(日本円で約5.8万円)。40平米。マンションには守衛も付いていて、ジムやプールもある(en.9apartment.com)より。
特に、女性の場合は、一人で安い家賃の家には住まず、複数人でシェアしている。田舎から出て来たタイ人女性等は複数人で住むのが一般的だ。ただし、いずれも1年契約が基本となるので、長期滞在の予定が無いならホテルのドミドリーの方が良いだろう。
バンコクの格安ホテル街のエリアはいくつかある。繁華街へのアクセスを考えるとルンピニーがおすすめである。
ルンピニーはバンコクの地下鉄(MRT)沿線の駅で格安ホテルがいくつかある。
エッツ ホステル(Etzzz Hostel)(クリック先で宿泊日を入れれば値段のチェックも出来る。)
S1 ホステル(S1 Hostel)は綺麗でオシャレな感じ。
共に女性専用のドミドリーもあり、1泊1000円程度だ。
タイの平均給与は月3万円程度。家賃に関してはバンコクを避ければ月5000円でも難しくはない。
日本人の多いタイの北部チェンマイでも、こうした物件は数多くある。住居はもちろん物価もバンコクと比べ物にならないぐらい安く、日本人にも人気の街である。
タイの北部の都市・チェンマイ(www.flickr.comより)
個人的にはバンコクにも近く、マリンスポーツも楽しめるパタヤもおすすめだ。
パタヤ(www.flickr.comより)
ただし、パタヤはナイトライフの誘惑も多いので、出費がかさむ可能性もある。
バンコクやプーケットなど欧米人も数多く住む都市は物価も高くなっているので、そういった街を避けてタイの田舎に住むのもありかと思う。
月の出費のうち家賃の占める割合は大きく、しかも固定費なので生活を充実させる際にはいかにしてこれを抑えるかが重要となるだろう。
日本とタイの食費
▶ 日本 3〜4万円
自分の場合、昔は1日1000円、月3万円を基準に食費を設定していた。
この月3万円という金額に関しては、外食やコンビニを避ければ全く難しいものではない。
米は必ず炊いて、おかずはスーパー、完全な自炊をしなくとも容易に達成できる。たまに、外食で1000円程度使う日があっても、月4万円であれば無理なく過ごせるはずだ。
▶ タイ 3〜5万円
食事についてもタイの方が一般的には安い。ただ、観光で訪れる外国人が多い場所ほど物価は上がっており、外食となれば1000円弱はかかってしまう。
タイ人は自炊よりも外食する文化が根付いている。それでも一般庶民は外国人のほとんどいない屋台やフードコート、地元のこじんまりとした店で食事をしている。
バンコク、BTSアリー駅近くのフードコート。BTS駅周辺でも1品45バーツ(160円)程度から食事をする事が出来る。
こういった店で自分に合うところがあれば食費もかなり安く済ませることが出来ると思う。しかし、長期で滞在すると、どうしても日本食や質の高い料理を体が欲してくる。タイに限らないと思うが、やはり日本で育ち、日本の高い食文化に慣れてしまうと、どうしても食に対する基準は上がる。こうしたそこそこ良い食事となると日本よりも高く付く事が多い。 牛丼を始めとした、ワンコイン(500円)で満足できる食事を食べれるというは、海外を見ても日本ぐらいである。
食費に関してはこういった予測しにくい部分があるため、日本と同じぐらいそれ以上はある程度覚悟した方が良いと思う。ただ、それでも周辺諸国に比べたら、タイの食事はかなりレベルが高い。周辺諸国には不味くて食えない料理ほどの料理も何度か経験しているが、タイでは少ない(というか、殆ど経験した事は無い)。
食事というのは気を使うと、長期ではストレスになり得るので、この辺は我慢せず余裕をみておいた方が良いだろう。
日本とタイにおける光熱水道代+通信費
▶ 日本 1.4万~
光熱水道代+通信費に関しては日本でも計2.5万円程度あれば充分だろう。
通信費には携帯代の割合が日本ではどうしても多くなってしまうが、月10万円で暮らそうとしている人が携帯代に8000円以上もかけるのはおかしい。
MVNOにすれば月2000円程度なので、SIMフリー携帯を買うか携帯をSIMフリー化してMVNOにすぐに乗り換えよう。
(現在評判の良いMVNO業者。月額440円~)
光熱水道代、通信費合計で月2万円は難しくないはずだ。
▶ タイ
電気代は日本よりも少し安いぐらい。1年を通して平均気温が30℃を超えるのでエアコンを付けた方が良い。
水道代はかなり安く、月500円もいかない。ただし、タイの水道水は飲料水としては使えない。ウォーターサーバーなどを入れれば別途月に1000円程度はかかる。
3Gネット回線を使えるキャリアと契約し、存分に容量を使っても1000バーツ(3650円)程度。ネット回線を家に引いたとして、ADSLであれば500バーツ(1800円)程度。
携帯電話のSIMカードはプリペイドでも購入できる。
フリーWiFiのあるカフェも多いため、WiFiが付いてこない家であれば無理して引く必要もないかもしれない。
バンコクのチェーンコーヒー店。True Coffee。店内には無料のWiFiがある。
ドリンク代はかかるが、自分はよく朝食を摂るついでに無料WiFiのあるカフェを利用している。スターバックスには1ヶ月使い放題で300バーツ(日本円で約1090円)のWiFiカードもある。
コーヒーで100バーツ(約360円)と高く付くが、作業に集中したい人はカフェの方がいいかもしれない。
その他費用とまとめ
自分が提案するライフスタイルでは、日本での最低生活費が月5.4万円、タイでの生活費が月4.2円とさほど変わりがない。大きな違いが出るのは、その他費用の部分である。
タイはアクティブに活動しても、日本ほど費用がかからないことが多い。まず、交通費が安いので、観光やスポーツをしに他の都市へ気軽に遊びに行くことが出来る。
バンコク内であれば、タクシーでも1000円あればどこへでも行けるし(ただし、交渉制)、バスを使えば、ビーチリゾート・パタヤにもバンコクから2時間で行けるため、様々なアクティビティやマリンスポーツを楽しむ事が出来る。
バンコクからパタヤへのバス。180km程度の距離があるが450円程度。日本で言えば、東京から静岡の熱海を越えて静岡中部ぐらいまでの距離である。
マッサージも1時間500~800円程度で可能なので気軽に受けれるし、ナイトライフも「見るだけ、話すだけ」なら低価格で楽しむことが出来る。
パタヤのバービア。日本で言えばガールズバーのようなバーである。
バンコクならソイカウボーイやナナプラザといった歓楽街にゴーゴーバーと呼ばれるバーがある。ゴーゴーバーでは薄着の綺麗な女性を見て、席に呼び30分程度いちゃついても1000円程度しかかからない(席に呼ぶには女の子にドリンクを奢るのが一般的)。
店外へ連れ出すと1万円程度はかかる。月10万円の生活を送っていた時は、眺めているだけだった。しかし、ゴーゴーバーは見ているだけでも楽しかったし、もっと稼いでやろうというモチベーションにも繋がった。眺めているだけなら、自分のドリンク代だけなので、400円程度である。
ゴーゴーボーイというゲイや女性向けのバーもバンコクにはあって、ここでは男性を連れ出すことも出来る。バンコクでは日本の某有名女芸人が、男の子を連れ出しているのを目撃されている。
月10万円の生活となると厄介になるのがこうした費用の他にも交際費がある。日本では居酒屋に行くだけで1回5000円ぐらいは飛ぶ。このような理由から、友人からの誘いはある程度断らなければならなくなる。月10万円で生活した場合、間違いなく友人は減る。恋人とのデートも相手がデート代を毎回持ってくれない限りは難しい。
自分の場合、広範囲に交流を続けることに疑問を感じていたので、「低収入で生きていく」ことを決めた際には、友人関係を限りなく0に限定した。結果として、面倒くさい人間関係が無くなり、ストレスもほとんど無くなった。アフィリエイトをはじめサイト運営で収入を得ているので、仕事上の付き合いも必要ないし、縛られない生活は非常に快適だ。
10万円生活まとめ
タイはノービザでも国外に出れば1ヶ月以上滞在する事も容易だった。しかし、クーデター後の軍政になった現在は難しくなっている。タイへ長期に滞在する場合、よりビザの問題を考えなければならなくなった。
それでも一度日本へ帰国するなどを繰り返せばビザについての問題はそこまで大きくはない。
タイでは日本人という外国人のフリーランスやアルバイト生活をしている人も少ない費用で、日本とタイを行ったり来たりする生活を実現できるのだ。
言葉の違いを含めたライフスタイルの変化を考えれば、タイの方が間違いなくストレスは多いと思う。ただ、それでも自分的にはタイでの生活は日本のそれ以上にオススメ出来る。
月10万円で楽しく生活したい人は下記記事を参考に。