西成、特に北部に位置する「あいりん地区」は大阪人でもあまり近づかないようにしているエリアだ。大阪でなくとも関西人の多くは「西成」「あいりん」を知っている。関西人でなくとも、聞いたことならあるかもしれない。
西成は大阪市にある区の1つである。あいりん地区は西成区の北部に位置するエリアになる。あいりん地区は現在、不良老人に加えて、若い外国人のバックパッカーも多くなっており、イメージは変わりつつある。
あいりん地区のマップ(openstreetmapより)。JRなら新今宮駅、地下鉄なら動物園前駅の南エリアがあいりん地区。天王寺駅に近い上、ミナミ(難波)も徒歩圏内の好立地、その上ホテルの価格も安いため旅行者には人気である。
動物園前駅の南エリアは外国人バックパッカーの多い宿街となっており、雰囲気も昔とは大きく違っている。
新今宮駅のすぐ南には「あいりん労働福祉センター(通称:労働センター)」がある。この労働センター周辺は朝の早い時間から日雇い労働や派遣業者が集まっている。旅行者に見えない、動きやすい格好で早朝の時間に歩けば頻繁に仕事の斡旋を受けるだろう。
この記事ではこうした
▶ 現在の西成における日雇いの現状
についてYouTubeで話題になっている生きざまTVの内容を主に、日雇いの仕事内容や西成での生活を紹介し、西成に限らない
▶ 日雇い労働のメリットとデメリット
までを紹介していきたいと思う
身分を証明できるものを持っている人は時給も高いので派遣会社に登録した方が良い。求人も多く、ネットで現場が選べるサイトとしては数分で登録できる下記サイトがおすすめである。
もちろん、西成に滞在しながら、こちらのネット上で募集されている現場で働くことも可能である。
西成における日雇いの現状
生きざまTVの情報を元に、現在の西成における日雇いについて簡単にまとめると
1.日給:1万円程度(現金手渡し)
2.仕事への参加方法:朝4時から6時前まで、労働センター(あいりん労働福祉センター)周辺にいる斡旋業者から声をかけられるのを待ち、給与や仕事内容、現地解散場所を聞いた上で決定する。
3.仕事内容:解体現場の持ち運び、道路工事の補助、清掃
4.実働時間:8時から17時(拘束時間は4時半から17時)
5.食事:朝と昼の食事が付く現場も多い
6.場所:大阪市内もしくは大阪近郊
7.移動:西成から現場までは斡旋業者の車。仕事終了後は現地解散が多い
30日以内の短期派遣に該当する日雇いは近年労働者派遣法の改正により制限が加わっている。それは60歳以上や学生で無い限り、一定の所得が無いと働けないというものである。30日以内の短期派遣に該当する日雇いについて詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
派遣会社への登録の際には、住所や免許証などの身分証コピーが求められるのが普通だ。しかし、西成の日雇いでは、短期派遣の制限はもちろん、身分の確認も求められない。加えて、現金も手渡しなので、生きざまTVにも出ていたように、税金を取られたくないサラリーマンが副業に利用しているようだ。
日本で身分を明かさずにお金を稼げる数少ない手段になっているため、指名手配犯が西成で働いていたことは何度か話題になっている。
身分を証明できるものを持っている人は派遣会社に登録した方が良い。なぜなら、西成の日雇いよりも時給が高いからだ。楽な現場で短い労働時間の仕事も派遣会社に登録されている現場に多い。
もちろん、西成に滞在しながら、こちらのネット上で募集されている現場で働くことも可能である。
具体的な仕事内容
生きざまTVでは西成に3泊4日で滞在し、3日現場へ入っている。動画撮影者は労働センター周りだけでなく、ホテル前でも仕事の斡旋を受けている。働き手が不足しているようで、労働センター周辺では毎日複数の人に声をかけられていた。年齢が若いのと、動画撮影者は作業服を来ていたため、日雇労働目的とわかりやすいかったのが理由として大きいだろう。
・1日目の現場
4時半に西成のホテルを出てすぐに現金いらんか?と声をかけられる。ハイエースに乗り、労働センターの裏に降ろされる。労働センターからは15人ぐらいでマイクロバスへ乗り換え、建設現場の事務所のようなところへ行く。ここでご飯と味噌汁の朝ご飯が出される。
建設現場の事務所から大阪、兵庫へ行くグループに別れ、車で移動する。
仕事内容は道路の舗装工事補助。古い道路を剥がして、新しくする仕事の補助。具体的にはフェンスを持って、ドリルで穴を掘る時に片側の道路へ破片が飛び散るのを防いだり、道路の破片を運ぶ仕事である。
給料:1日1万円
実働時間は8時から17時(拘束時間は4時半から17時)
食事:朝食昼食付き
場所:大阪近郊
移動:西成から現場までは斡旋業者の車。仕事終了後は現地解散で西成まで交通費320円
・2日目の現場
労働センター周辺で声をかけられる。西成から車で10分の場所に5人を乗せて移動。現地解散ではなく送迎もあり。
池へ入って、蓮の花を回収して捨てる仕事。沼に足を取られるため、体力的にはかなりキツイ。短い休憩は1時間に1回、長めの15分休憩が2回。
1現場目よりも拘束時間が1時間短く、日給は1000円高い。
給料:1日1.1万円
実働時間は8時から17時(拘束時間は5時半から17時)
場所:西成から車で10分
移動:西成から現場までは斡旋業者の車で送迎(交通費0円)
・3日目の現場
労働センター周辺で複数の斡旋業者に声をかけられる。現地解散が多いので、撮影者は大阪市内の現場に絞って仕事を探す。大阪市内の現場で、朝食昼食付きを提示してきた斡旋業者に付いていく。
仕事内容は昔料亭だった空きビル3階部分の解体作業。仕切りや壁紙、カーペットなどのゴミをトラックまで運ぶ。エレベーターも無いため、階段の上り下りを繰り返す。撮影者は3現場の中で一番大変だったとのこと。
給料:1日1万円
実働時間は8時から17時(拘束時間は4時半から17時)
場所:市内の西の方
移動:現地解散(交通費230円)
西成における生活について
宿は1泊1500円から2000円ならまとも。1000円以下だと風呂も汚く、入るのもためらうレベル。
ただ、予約サイトには掲載されていない宿の方が安く泊まれるようだ。現地へ直接行き、空き部屋を探す形でも良いだろう。
1日仕事をすれば1万円の収入になる。滞在費を1泊1500円、食費1日1500円とすれば7000円プラスになる計算である。
体を動かせる人なら、いざという時のライフスタイルとして知っておいても損はないだろう。
日雇い労働のメリットとデメリット
あいりん地区の路上で酒を飲む人(https://goo.gl/maps/Bbt9VrjcZZQ2より)
日雇いのメリットは働きたい時に働いて、休みたい時に休めるという点である。日本でもまとまった休みがほしいと嘆くサラリーマンは多い。日雇いはそれを可能にする。西成に限らず、東京の日雇いでも派遣会社へ登録し、入りたい現場、入りたい日があった時にだけ働けば良い。人が足りないと電話で現場へ入ってほしいと言った連絡は入る。しかし、これを無視しても何ら問題はない。
あいりん地区の日雇いなら仕事をしたいと思った直接に労働センター周辺へ行けば良い。身分証や派遣会社への登録も必要ない(法令には違反している。しかし、地域や底に住む人たちの性質から行政が見逃している)。働く日をより自由に選べるだろう。
通常の長期バイトはシフトの関係で自由に休めない。また、私用で休むことを望んだり、急に休みたいと伝えれば雇用者に嫌がられるのが普通な状態になっている。本来であれば自由が効くはずのバイトで、実現できないような働き方が日雇いでは可能となっている。1ヶ月日本で働いて、1ヶ月海外に住むといったライフスタイルを送ることもできるのだ。
また、慢性的に人手不足の業界なので、体の動かせる人なら基本的に誰でも働くことができる。西成なら身分の証明も必要ないため、住所を持たない人を含め、より多くの人を受け付けている。その日限りなので、ムダに気を使う必要も無く、仕事において人間関係に悩むこともないだろう。
しかし、当然の話としてデメリットも存在している。 まず、日雇いの現場の多くは長期で働く人が不足していることから発生している。この「長期で働く人がいない」理由として、大変な仕事が多かったり、給与に合わないといった理由が考えられる。自由を享受できる代わりに、楽な仕事は無いと思った方が良いだろう。
女性が働ける現場も東京なら割と多い。ただ、男性の方が現場は多く、やりやすいという点は間違いなくあるかと思う。中年女性ならともかく、若い女性だと、働くことができても奇異な目で見られるはずだ。
最近は会社員での仕事だけでなく、雇われた生活そのものを否定する若者も多々存在している。しかし、フリーランサーといった雇われない生活を維持するための収入源として、日雇いほど適切な働き方はないだろう。手っ取り早く、お金を稼ぐことができる手段である。
雇われない生活を目指す人こそ、日雇いという選択肢を積極的に検討し、取り入れるべきだと思うのである。
働くまでに少々手続きが必要である。しかし、身分を証明できるものを持っている人は時給も高いので派遣会社に登録すべきだ。
もちろん、西成に滞在しながら、こちらのネット上で募集されている現場で働くことも可能である。