ソニー銀行の Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)は世界のVisa加盟店で使えるデビットカードである。このデビットカードは国内決済で最大2%還元が受けれる。
また、外貨を購入し、外貨口座に入れておけば、それを元手に海外で外貨建決済、現地通貨の引き出しができる。特に、Visaによる外貨建決済では外貨購入の手数料しかかからない。幅広く10通貨で利用できるため、日本円で稼ぐ人なら、国内および海外で使う用のデビットカードとして最強になり得るだろう。
この記事では
▶ Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)のステージと還元率
▶ Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)による外貨決済と外貨の引き出し
▶ ソニー銀行におけるデビットカードの不正利用対策
から
▶ Sony Bank WALLETを国内最強のデビットカードにする使い方
まで詳しく述べていきたいと思う。
- Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)のステージと還元率
- Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)による外貨建決済と外貨の引き出し
- ソニー銀行におけるデビットカードの不正利用対策
- Sony Bank WALLETを国内最強のデビットカードにする使い方
Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)のステージと還元率
Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)について、国内の決済は条件無しで0.5%還元、条件を満たすと最大で2.0%還元を受けれる。
ただし、日本円以外での決済(外貨決済)や海外の旅行代理店、航空会社など海外利用の扱いとなる加盟店の利用分はキャッシュバックの対象外となる。
還元率はステージごとに異なり
ステージなし:0.5%
シルバー:1.0%
ゴールド:1.5%
プラチナ:2.0%
となっている。
キャッシュバックは毎月1日から末日までの利用に応じ、翌月25日までに円普通預金口座へと「現金」で入金される。
シルバーからプラチナになる条件をわかりやすく説明すると、
シルバーは普通預金300万円以上もしくは月3万円以上の外貨預金積立もしくは月3万円以上の投資信託積立、
ゴールド、プラチナは「外貨」、「投資信託」、「WealthNavi for ソニー銀行」3つの合計残高で決まる。これらの合計額が500万円以上あるならゴールド、1000万円以上あるならプラチナにランクアップする。
また、ソニー銀行に住宅ローン残高があれば最長5年間、FXの月間取引枚数1000枚以上(1枚は1万通貨)でランクアップする。いずれかを満たすと1ランクアップし、両方を満たすと2ランクアップする。
日本円を300万円以上持っている人はそれをソニー銀行へ預けるだけでシルバーになる。300万円を持っていなくとも、投資信託もしくは外貨預金で月3万円以上を積み立てればシルバーまでは達成する。
シルバー・ステージの人が住宅ローン残高およびFX月間取引枚数1000枚以上の条件を満たすなら2ランクアップするため、プラチナステージになる。
外貨や投資信託の積み立てで500万円以上貯める予定の人や、毎月3万円ずつ積み立てていく人、ソニー銀行で住宅ローンを組んだり、FX取引枚数が1000枚以上になる人は最も高いプラチナ・ステージを目指していくと良いだろう。
毎月月末に取り引き状況や残高の集計を行いステージを判定する。条件を満たしたら、翌々月からランクが適用される。
ちなみに、円普通預金はペイオフにより銀行(この場合ソニー銀行)が破綻しても1000万円までは補償される。また、株や投資信託は海外のものでも分別管理されているため、保護される。
しかし、外貨については、銀行に支払能力が無いと1円も帰ってこない。破綻が心配なら投資信託にしておいた方が良いだろう。
Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)による外貨建決済と外貨の引き出し
Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)は
・米ドル(アメリカなど。一部発展途上国でも米ドル決済が可)
・ユーロ(ユーロ圏)
・英ポンド(イギリス)
・豪ドル(オーストラリア)
・NZドル(ニュージーランド)
・カナダドル(カナダ)
・スイスフラン(スイス)
・香港ドル(香港)
・南アランド(南アフリカ)
・スウェーデンクローナ(スウェーデン)
の10通貨で外貨口座にある外貨を元手に、決済と現金の引き出しができる。
Visaによる外貨建決済では手数料は無料、現地通貨の引き出しでは1.76%の手数料となっている。
ソニー銀行ではブラジルレアル、中国人民元の購入もできる。しかし、2019年7月現在、この2通貨は決済、引き出しに対応していない。
下記ではソニー銀行における外貨購入、入金の方法からVisaによる外貨建決済、現地通貨の引き出しまで詳しく述べていきたいと思う。
ソニー銀行における外貨購入の方法
海外もしくはインターネット上において、Sony Bank WALLETによる外貨建決済と外貨の引き出しをするには外貨普通預金口座を開設し、外貨を入金して置かなければならない。外貨口座の開設は別途申し込みが必要になる。
開設した外貨普通口座に外貨を入金するには
・ソニー銀行で外貨を購入する
・他行からの送金
以上の2通りがある。
ソニー銀行で外貨を購入する
ソニー銀行では1ドル、1ユーロなど、1通貨単位で外貨の購入ができる。原則として24時間365日、銀行口座に日本円が入っていれば、その範囲で購入ができる。
外貨の購入には手数料がかかる。この外貨購入手数料もプラチナまでのステージによって異なる。2019年7月現在の手数料は下記のようになる。
通貨 | 基準為替コスト | シルバー | ゴールド | プラチナ |
米ドル | 15銭
|
10銭 |
7銭 |
4銭 |
ユーロ | 15銭 | 12銭 | 10銭 | 8銭 |
英・ポンド | 45銭 | 30銭 | 25銭 | 20銭 |
豪ドル |
45銭 |
30銭 |
25銭 |
20銭 |
NZドル | 45銭 | 30銭 | 25銭 | 20銭 |
カナダドル |
45銭 |
30銭 |
25銭 |
20銭 |
スイス・フラン |
45銭 | 30銭 | 25銭 | 20銭 |
香港ドル |
9銭 |
7銭 |
6銭 |
5銭 |
ブラジル・レアル |
90銭 |
80銭 |
60銭 |
40銭 |
中国・人民元 |
30銭 |
25銭 |
20銭 |
15銭 |
南アフリカ・ランド |
20銭 |
15銭 |
10銭 |
8銭 |
スウェーデン・クローナ |
9銭 |
8銭 |
7銭 |
6銭 |
https://moneykit.net/visitor/fee/fee02.htmlより
米ドルは1ドル購入すると15銭=0.15円の手数料がかかる。1ドルを100円とすれば手数料はわずか0.0015%になる。
1香港ドルは約14円。これに9銭=0.09円の手数料がかかる。つまり、1香港ドルあたり0.006%の手数料である。
度々、為替コスト引き下げのキャンペーンも行われており、そのタイミングで購入すればさらに手数料を抑えられる。
購入はリアルタイムの他、指値(指定の価格になったら購入)、指定した日に指定した通貨を指定した額(日本円)での積み立て購入ができる。積み立て購入は500円から設定できる。
他行から、他行への外貨送金
ソニー銀行へは国内外の金融機関から送金ができる。送金により受け取り可能な通貨としては円/米ドル /ユーロ /英ポンド /豪ドル /NZドル /カナダドル /スイスフラン /香港ドル /南アランド /スウェーデンクローナの11通貨がある(https://moneykit.net/visitor/fx/fx07.htmlより)。
国際送金では送金する側で手数料の負担が必要である。ソニー銀行で行う国際送金では1回ごとに仕向け送金手数料として3000円、支払銀行手数料、組み戻し手数料・変更手数料・照会手数料がかかる。ただし、仕向け送金手数料の3000円はゴールドだと月1回、プラチナだと月3回無料になる。
支払銀行手数料は受取金融機関など関係銀行でかかる事務手数料で、送金先により手数料の発生有無や金額は異なる。支払銀行手数料は受取側負担にもできる。
組み戻し手数料・変更手数料・照会手数料は送金実行後、各手続きが必要となる場合に追加で発生する手数料である。それぞれ手続きが生じると追加で5000円がかかる。
外貨を受け取る場合は支払銀行手数料を求められない限り、手数料の負担はない。
日本円よりも外貨の国際送金の方が厳しく、申し込みごとに審査も必要になる。外貨の送金では20日程度かかると見た方が良いだろう。ソニー銀行における外貨送金については下記ページも参考に。
Visaによる外貨決済
購入や他行からの送金によって外貨口座に外貨を入れておけば、Sony Bank WALLETでVisaによる外貨建決済ができる。
Visaによる外貨建決済手数料は無料であり、実質的な手数料は外貨購入時、送金時の手数料しかかからない。米ドルを購入して、決済するなら2019年7月現在、購入時の0.0015%のみである。これは日本で発行したVisaクレジットカードで決済(為替手数料1.63%~)するよりも安く済む。
海外(外国の通貨)でショッピングをする際、為替手数料が安ければ当然、日本円で最終的に請求される金額も安くなる。
例えば、1万円分の商品を海外で買うと、VISAクレジットカードなら163円程度の手数料がかかり、Sony Bank WALLETなら購入時の手数料15円程度になる。プラチナランクなら4円である。対応通貨の国へと渡航する際には利用しなければ損だろう。
ちなみに、決済時、外貨普通預金口座の残高が不足すると、円普通預金口座から外貨の不足分が充当される(円からアシスト)。こちらの手数料も基準為替コストと同じであり、0.0015%の手数料となる。
外貨預金口座を開設していないと、円普通預金残高からの外貨決済となり、Sony Bank WALLET以外のデビットカードと同様に通常の為替手数料を取られる(米ドルは1.76%)。円普通預金残高からの外貨決済は米ドルやユーロといったメジャーな通貨以外だと手数料も高くなる。
また、海外ではサインへの変更ができず暗証番号入力が必須になる店も多い。海外で利用する際には、事前に、暗証番号も確認しておこう。
現地通貨の引き出し
Sony Bank WALLETを使えば、世界中の「VISA」「PLUS」のマークのあるATMで、外貨口座にある外貨を引き出せる。
ただし、Sony Bank WALLETによる現地通貨の引き出しでは事務処理経費として1.76%加えて、ATM手数料まで取られる。外貨普通預金口座を開設していなければ、更に手数料は高くなる。
このATM手数料は少額での引き出し、発展途上国などのマイナー通貨ほど高くなる。ただ、ステージごとに海外ATM利用料無料回数が付与される。シルバーステージなら月1回、ゴールドなら月3回、プラチナなら月5回海外でのATM利用料は無料になる。
ちなみに、クレジットカードのキャッシングではATM手数料も取られないカードが多い。従って、現地通貨を下ろすなら、日本で発行したクレジットカードのキャッシングの方が手数料が安いことも多い。
クレジットカードによる決済およびキャッシングでの手数料について詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
ソニー銀行におけるデビットカードの不正利用対策
Sony Bank WALLET(ソニーバンクウォレット)は利用と同時に口座から現金が引かれるデビットカードである。そのため、不正利用についてクレジットカード以上に気を付けなければならない。
ソニー銀行の不正利用に対する補償は他のデビットカードと比べ、手厚い保護が受けられる。通常、デビットカードは1日の補償限度額が決まっている。しかし、ソニー銀行は
・1日あたり利用限度額の範囲で補償
と規定されている(moneykit.netより)。
ただし、
・ソニー銀行に通知が行われた日の30日前の日以降に発生した損害
に限定されている。つまり、30日以上経ってから、不正利用についての報告を行っても補償されない。外貨建決済についても同様なので、見覚えのない利用(口座からの引き出し)がVisaデビット利用明細照会で確認されたらすぐにソニー銀行へと連絡した方が良いだろう。
不正利用対策
デビットカードの不正利用対策としては1日あたりの利用可能額を低めに設定しておくのが有効である。
Sony Bank WALLETは初期設定だと1日の利用可能額を50万円、1ヶ月あたり200万円になっている。いくら限度額の補償がなされるとはいえ、1日に50万円も銀行口座から無くなれば不安に思うだろう。
確かに、クレジットカードを使うと足が付くため、紛失などで落としてもクレジットカードは通常使用もされない。しかし、プロに盗まれた場合は利用のリスクも上がる。特に不正利用の多い海外旅行時には利用限度額も低めに設定しておいた方が良いだろう。
また、Sony Bank WALLETなら利用限度額を0円にもできる。見覚えのない請求が生じたら、すぐに限度額を0円にし、利用停止を行うべきだ。
加えて、デビットカードの不正利用では補償を受けれないケースもある。被害にあう前に知っておくべきことをまとめて知りたい人は下記記事を参考に。
Sony Bank WALLETを国内最強のデビットカードにする使い方
Sony Bank WALLETがもっともオトクになる使い方は
・シルバーランク以上の会員による日本国内のデビットカード決済
・Visaによる外貨建決済
以上の2通りである。この2つのサービスなら2019年7月現在、日本国内で最高レベルのサービスを提供している。
国内でSony Bank WALLETを利用するなら、最低でもシルバーランクにしなければならない。なぜなら、楽天銀行デビットカードなら、無条件で1%還元を受けれるからだ。
ゴールド以上なら1.5%還元となるため、国内では最高還元のデビットカードとなる。
ちなみに、PlayStation™Network / PlayStation™Storeなら、ステージに関わらず2%還元を受けれる。
米ドル決済では、住信SBIネット銀行のミライノデビットでも同じようなサービスを提供している。
しかし、ミライノデビットの外貨決済手数料は無料ではなく、回数制限のあるキャッシュバックという形を取っている。また、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、南アランド、スウェーデンクローナでも同じような決済サービスに対応しているのはソニー銀行のSony Bank WALLETだけである。
アメリカ以外の幅広い地域の海外旅行でも決済手数料を最小限に抑えられるだろう。
上でも述べたとおり、ATMなどから現地通貨を下ろす場合はSony Bank WALLETだけでなく、クレジットカードのキャッシングでも良い。
今までの外貨預金は利息を得るためなど、実態のあるようなものではなかった。しかし、ソニー銀行の外貨預金口座にある外貨は支払にも引き出しにも利用できる。他の銀行とは違いより実態に近い性質になっているだろう。シルバー以上の条件を満たすのが難しい人でも、海外旅行用の決済カードとして作成しておくべきだ。
Sony Bank WALLETを含む、日本国内で還元率の高いデビットカードをまとめて比較したい人は下記記事を参考に。