ウェルスナビの手数料は運用金額の年率1%(税別)を基準に、運用期間が長ければ0.9%まで、3000万円以上は0.5%にまで下がる。為替コストや取引手数料など、他の手数料は取られない。
ウェルスナビでは
・米国株
・日本株、欧州株
・新興国株
・米国債券
・物価連動債
・金
・不動産
のクラスに分けられ、それぞれに対応するETF(上場投資信託)へとリスク許容度に従い投資し、配分を調整してくれる。
ウェルスナビの投資先であるETFはそれぞれのクラスにおいて評価も高い。ウェルスナビで資産の運用をしていない人もこれらETFは知っておいた方が良いだろう。
ただ、ウェルスナビが投資するこれらETFはすべて個人でも買える。また、ETFは手数料に相当する総経費率も年0.03%から0.42%と低い。日本の証券会社で直接ETFを購入した方が保有にかかるコストも抑えられるだろう。
加えて、NISA口座を使ってETFを購入すれば、手数料だけでなく、利益にかかる税金も年間120万円、5年間600万円まで抑えられる。ウェルスナビを利用したい人もNISA口座の非課税枠いっぱいまでは、これらETFへの「直接」投資を検討すべきだ。
この記事では
▶ ウェルスナビを構成するETF
について詳しく紹介していくとともに
▶ ウェルスナビで資産運用する前に知っておくべきこと
も述べていきたいと思う。
- ウェルスナビを構成するETF
- ウェルスナビで資産運用する前に知っておくべきこと
ウェルスナビを構成するETF
ウェルスナビが投資対象とする資産クラスとETF、運用会社、総経費率をまとめると下記のようになる。
資産クラス | 銘柄(上場投資信託) | 運用会社 | 総経費率(2019年9月現在) |
米国株 | バンガード トータルストックマーケットETF(VTI) | Vanguard | 0.03% |
日本株、欧州株など | バンガード FTSE先進国市場(除く米国) ETF(VEA) | Vanguard | 0.05% |
新興国株 | バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO) | Vanguard | 0.12% |
米国債券 | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG) | BlackRock(iShares) | 0.04% |
物価連動債 | iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP) | BlackRock(iShares) | 0.19% |
金 | SPDR ゴールド シェア(GLD) |
State Street(SPDR) |
0.40% |
不動産 | iシェアーズ 米国不動産 ETF(IYR) | BlackRock(iShares) | 0.42% |
WealthNaviホワイトペーパーより(2019年9月現在)。上記ETFはいずれも日本の人気証券会社で買える。
それぞれのETFについて更に詳しく紹介していく。
ちなみに、チャートについてはすべてアメリカドルでの推移になる。日本円評価では円高時にパフォーマンスが落ちる。
バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)
5年間のVTI価格推移(アメリカドル)。バンガード・インベストメンツ・ジャパン – 商品案内 – バンガードETFより。
VTIはアメリカ株式市場に上場する大・中・小型株式、約4000銘柄から構成される時価総額加重平均型の株価指数に連動する投資成果を目指している。VTIにはNYダウやS&P500が含まない小型株も含み、アメリカ株式時価総額の約100%をカバーしている。
簡単に言うと、大型株、中型株だけでなく、小型株を含めて広くアメリカ株式市場へ投資し、アメリカ株式市場の成長がそのまま利益になるETFだ。
総経費率:年0.03%(2019年9月現在)
組入れ上位銘柄(2019年6月30日時点)
マイクロソフト 3.49%
アップル 2.95%
アマゾン 2.62%
フェイスブック 1.56%
バークシャー・ハサウェイ 1.30%
バンガード FTSE先進国市場(除く米国) ETF(VEA)
5年間のVEA価格推移(アメリカドル)。バンガード・インベストメンツ・ジャパン – 商品案内 – バンガードETFより。
VEAはFTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックスのパフォーマンスへ
の連動を目指している。カナダ、欧州地域の先進国市場、および太平洋地域の先進
国市場の、大型株・中型株・小型株約3700銘柄へ投資している。
主な投資対象国として、日本、英国、カナダ、フランス、ドイツ、スイス、オー
ストラリアが含まれる。
総経費率:年0.05%(2019年9月現在)
組入れ上位銘柄(2019年6月30日時点)
ネスレ 1.71%
ノバルティス 1.08%
ロシュ・ホールディング 1.00%
サムスン電子 0.90%
HSBCホールディングス 0.88%
トヨタ自動車 0.87%
バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO)
5年間のVWO価格推移(アメリカドル)バンガード・インベストメンツ・ジャパン – 商品案内 – バンガードETFより。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・イン
デックスのパフォーマンスへの連動を目指している。インデックスはブラジル、ロシア、インド、台湾、中国、南アフリカを含んでおり、該当国の大型株と中型株へと投資している。
市場別保有配分としては中国で34.4%、台湾13.4%、インド11.2%となっており、3カ国の割合だけで50%を越えている。
総経費率:年0.12%(2019年9月現在)
組入れ上位銘柄(2019年6月30日時点)
テンセント 4.5%
アリババ・グループ・ホールディング 3.5%
TSMC 3.2%
ナスパーズ 1.8%
中国建設銀行 1.4%
iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)
5年間のAGG価格推移(アメリカドル)。iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETFより。
AGGは元金や利子の支払いが確実と見込まれるアメリカ債券へ投資するETFである。アメリカ政府・地方自治体債や政府機関モーゲージなど、信用評価としてAAA(ムーディーズの信用格付け)の債券で7割以上を構成している。
総経費率(年)が0.04%に対し、直近の配当利回りは年2.7%。高い利回りを期待でき、ETFの性質からいつでも売却できるため、株式とともにポートフォリオへ含めている投資家が多い。
アメリカのドル建て債券ETFとしてシェア1位にもなっている。
総経費率:年0.04%(2019年9月現在)
組入れ上位発行体(2019年8月30日時点)
アメリカ合衆国・財務省 39.83%
連邦政府住宅連盟 11.63%
政府国家住宅ローン協会II 7.51%
連邦住宅ローン住宅ローン公社 3.35%
連邦住宅ローン株式会社-ゴールド 2.52%
iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP)
5年間のTIP価格推移(アメリカドル)。iシェアーズ 米国物価連動国債 ETFより。
TIPは米国のインフレ連動国債で構成される指数と同等の投資成果を目指している。インフレと連動しているため、利回りを上回るインフレ率になっても、その分を価格へ織り込んでいく。つまり、TIPは米国の実質金利が下がると価格も上昇し、インフレによる損を避けられる債券ETFになっている。
総経費率:年0.19%(2019年9月現在)
組入れ上位銘柄(2019年8月30日時点)
アメリカ合衆国・財務省証券 100%
SPDR ゴールド シェア(GLD)
5年間のGLD価格推移(アメリカドル)。チャートおよびデータ > 日本 > SPDR Gold Shares (GLD)より。
GLDは金の国際価格(ロンドン午後金決値決め)を連動対象としているETFである。資産総額は約4.3兆円で世界最大の金(ゴールド)EFTである。
米国だけでなく、メキシコ、香港、シンガポール、そして、日本の東証にも上場している。米国・NYSEアーカでのティッカーはGLD、東証では1326である。
東証で買えば、円建てで1単元15000円程度から購入でき、手数料も安く抑えられる。ただし、円建てではゴールド価格だけでなく、円の為替レートによっても価格が変動する。また、購入手数料が抑えられても、ETFでは金現物でかかるような保管手数料と同等の性質として総経費(年0.40%)がかかる。
総経費率:年0.40%(2019年9月現在)
iシェアーズ 米国不動産 ETF(IYR)
5年間のIYR価格推移(アメリカドル)。iシェアーズ 米国不動産 ETFより。
IYRはダウ・ジョーンズ米国不動産指数に連動する投資成果を目指している。実質的にはアメリカの不動産セクター(主に米国リート)の株式へと投資している。
直近の配当利回りは年2.96%と高くはないものの、ここ10年は毎年10%程度のリターンを出している。
総経費率:年0.42%(2019年9月現在)
組入れ上位銘柄(2019年8月30日時点)
アメリカン・タワー 8.32%
クラウン・キャッスル・インターナショナル 4.93%
プロロジス 4.31%
エクイニクス 3.82%
サイモン・プロパティー・グループ 3.76%
ウェルスナビで資産運用する前に知っておくべきこと
ウェルスナビではまず顧客ごとに1から5までのリスク許容度を設定する。その後、リスク許容度に従い投資、リバランス(再配分)を自動調整してくれる。
リスク許容度別・最適ポートフォリオ配分比率の例として、下記のような比率が紹介されている。
つまり、ある程度のリスクを許容できる人には米国株(VTI)、日本・欧州株(VEA )といった株式の割合を高くし、リスク許容度が低い人には株式よりも米国債(AGG)や物価連動債(TIP)の割合を高くしている。
これは株式が高パフォーマンスを望める一方、不況時における下落幅も大きいからである。
手数料について
ウェルスナビが投資するETFは日本の証券会社でも買える。ETFは保有でかかる手数料も年0.03%から0.42%とウェルスナビに比べて低い。
また、NISA口座を使ってETFを購入すれば、手数料だけでなく、利益にかかる税金も年間120万円、5年間600万円まで抑えられる。
ウェルスナビの手数料は運用金額の年率1%(税別)を基準に、運用期間が長ければ0.9%まで、3000万円以上は0.5%にまで下がる。ウェルスナビでは手数料を取る代わりに、下記のような作業を自動で行ってくれる。
ただ、上記作業の自動化のために、年率1%の手数料を払っても良い人でも、税金の支払いは避けられない。ウェルスナビではNISA口座の利用もできない。
従って、ウェルスナビを使いたい場合も、少なくともNISA口座の非課税枠いっぱいまでは構成するETFへの「直接」投資を検討すべきだ。
NISA口座でETFを買うならSBI証券がおすすめである。
ウェルスナビの手数料についてより詳しく知りたい人は下記記事を参考に。