八木仁平の運営するサロン「ブログカレッジ」に潜む本当の危険性について

f:id:asiaasia:20160916184548j:plain

www.flickr.com

 

意識だけ高い系が良く言う「会社を辞めて独立」と同じような中身の無い理由で「大学を辞めて起業」を高々に宣言した若者「石田くん」が話題になっている。

 

自分が彼見て思ったのは

「学費を払った親も納得してるからいいんじゃない?」

「ただ、大学を辞めなくても事業を起こす事は出来たでしょ?」

この2点である。

 

音楽系の学部を専攻しているようなので、音楽に興味が無くなったら確かに辛いと思う。また、お金を払ってくれた親が納得しているのであれば退学自体は他人がとやかく言える立場ではない。

確かに、学校を辞める必要があったかどうかは多くの人が述べているように疑問である。それでも問題としては小さく、これだけではここまで炎上する事はなかったはずだ。

 

炎上したのは彼自身というよりも、「サラリーマンをレールに沿った人生にいる」と決めつけて馬鹿にしたり、大学を辞めて起業するに至ったバックグラウンドにあるかと思う。八木仁平やその師匠であるイケダハヤトに影響を受けた「被害者」としか思えないからみな心配し、意見しているのだ。

 

 

八木仁平の主催するサロンの宗教性

f:id:asiaasia:20180621222550j:plain

www.christianitytoday.com

 

八木仁平が他人を否定する事をご法度としているため、サロン(ブログカレッジ)を構成している人も同じような考え方で肯定し合い、居心地の良い空間を作り上げている。

彼のサロンでは問題解決のための議論さえも認めていない。非常に特異な環境だといえるだろう。

 

宗教における問題解決とは?

宗教の場合、信者を作るために、教祖は常にポジティブな印象を与えなければならない。問題解決のためのアドバイスも現実的、具体的なものは極力避けて、その人にとって精神的な負担の少ない理想的、抽象的なアドバイスを送る。

こうしたアドバイスでは問題の解決はしないのが普通だ。しかし、アドバイスをもらった相手は精神的に満たされる。場合によっては、問題解決の後押しになることも否定はしない。

 

科学が発達していなかった昔、宗教に問題解決を求めたのは必然的だった。雨が降らない理由もわからず、作物が育たなければ餓死してしまうと怯えていた。天災も恐ろしかっただろう。そんな中、精神的な不安を解消するのは、科学ではなく宗教だった。

問題解決方法が明確ではない分野ほど信者を集める事が出来る。現代におけるビジネスでもそうだ。例えば、ブログやアフィリエイトで稼ぐ方法など、明確な法則性が無く、一概には言えない部分では、こういった宗教的な集まりが形成されることは多い。

 

精神的な問題を解決するために、宗教に頼る事は何ら悪いことではない。ただ、実体のある問題に局面した時は、解決策を見出さなければ問題を一生解決することは出来ない。当たり前の話、精神的な問題では無いからだ。

宗教を信仰している人が日本よりも圧倒的に多い欧米人でさえも、このぐらいのことは知っている。

 

八木仁平の運営するサロンの問題点

Boys ritual cropped

 

八木仁平の運営するサロンの問題点は2つある。それらは

1.精神的な負担を強いない

2.ブログやアフィリエイトの素人が運営しているサロンである

という点である。

 

精神的な負担を強いないサロンの問題点

問題を解決するのは精神的に疲れる。ブログで稼ぐことができていない人は、この問題を解決するために、現状のままではいけない。壁を乗り越えるために、あえて疲れるような道を進まなければならない。

 

「辛い思いはするけれども、着実に前に進む」

「居心地は良いが、前には進まない」

 

本当に問題を解決したいなら前者の「辛い思いはするけれども、着実に前に進む」を選べば良いのは目に見えてわかるだろう。しかし、現実的には後者を選ぶ人が一定数存在している。そこにターゲットを絞ったのが彼のサロンである。これはイケダハヤトなど他のプロブロガーも同じだ。

イケダハヤトはサラリーマンに会社を辞めるように促し、満員電車に乗って一生懸命働いている人には「マゾなんでしょうか。」と言い放った。今でも、会社で働き続ける人には、働くのを辞めるよう言い続けている。

 

この世の中は現状に満足していない人の方が圧倒的に多い。こうした疑問を抱え、近寄ってきた人に問題解決策を求められたら、実質的に問題を解決するアドバイスはせずに

「そうだ、そうだ」

「いいんだよ、いいんだよ」

「疲れたね、休もうか?」

そういった優しい言葉で居心地の良い空間へと誘導する。この空間に入ると彼らの中で常識が形成され、圧倒的多数の世間が間違っているかのような認識になってしまうのである。

 

もちろん、自分の意志でサロンに入会したわけで、判断能力のある大人なのだから、自己責任的な要素も大きい。しかし、精神的な弱みにつけ込んで、入会させた部分があるのは確かだ。

 

もちろん、宗教に入ること自体は否定しない。サロンやセミナーの中には問題解決に熱心で、実績を残している所もあるだろう。ただ、問題に直面した時、実質的に問題を解決するには精神的な負担を伴う覚悟で、自ら前に進まなければならないのを忘れてはいけない。

ビジネスとしての可能性や成功しそうだからという理由ならフリーランスや起業も悪くないだろう。しかし、精神的に楽な方を選んだ結果がフリーランスや起業ならば甘いと言わざるを得ない。

 

ブログやアフィリエイトの素人

八木仁平はネット集客やネットマーケティングの知識をほとんど持っていない。

彼のブログは検索エンジンからの流入に依存しているが、今年の4月時点でアクセスや収入に大きくに貢献してくれたキーワードのいくつかはすでにアクセスが死んでいる。

 

ナンパ(アクセス及び出会い系アフィリエイトで売上に貢献)4月時点で最高4位⇒9月16日現在78位

f:id:asiaasia:20160916165923p:plain

 

薄い財布(物販系アフィリエイトで売上に貢献) 4月時点で最高1位⇒9月16日現在78位現在98位

f:id:asiaasia:20160916165930p:plain

 

ナンパの記事で紹介していた出会い系アフィリエイトは、はてなブログからつまみ出される要因となった。

 

彼は、はてなブログを捨て、出会い系アフィリエイトを選んだ。しかし、今では「ナンパ」のキーワードの順位を落としている。維持しなかったのではなく、維持できなかったのだ。彼にはキーワード順位を維持したり、上げるだけの知識が無いのである。

 

「薄い財布」はリンクを踏んでくれさえすれば別の商品が購入されても収益が発生する。比較的稼げるキーワードであったと言えるだろう。このキーワードも8月は一時期6位にまで戻した。しかし、現在は再び下落している。この時も適切な施策が出来てさえいれば、物販における売上も回復したはずだ。

 

イケダハヤトもそうだが、彼らは売上やアクセスの良い時だけを強調してアピールし、サロンへの入会者を増やしている。

長期間のアクセス推移を見せないのは下落を隠すことが出来ないからだろう。

 

アフィリエイトは一時的に売上が伸びることは良くある。問題はそれを維持することである。しかし、彼は炎上によって外部評価を高めることでしか、検索結果の上位表示が出来なかった。従って、ブログで収入を増やすことは諦めているのだ。

イケダハヤトも過去にはブログの更新を辞めると宣言した*1。八木仁平は新しい記事もブログ収入よりもはや信者に向けた広報になっている。

ブログ収入を増やすよりも、サロンからの収入を増やすために、信者を集めることに注力しているのである。

ブログ内での収入が完全に無くなったわけではない。しかし、ブログの内容やTwitterにおけるつぶやきまで、信者をいかに維持し、増やすかだけを考えたものとなってしまっている。

 

ライトに広がる搾取の仕組み

闇金ウシジマくんの新作映画は漫画30巻から始まる「フリーエージェントくん編」を中心に話が構成されている。

映画は来週9月22日からの公開。

 

与沢翼などがテレビなど大手メディアにも露出していたのは2年前になる。この映画の内容は全くと言って良いほど廃れている感じない。むしろ、サロンや有料コンテンツを販売するnoteなどを見ていると、よりライトな(軽い、親しみやすい)形でのこうした搾取をする仕組みが普及してきているような気がするのである。

 

大学を辞めた彼がどこまで影響を受けたかはわからない。しかし、実務経験や実績の無いサロンを運営する大人たちが、ビジネスにおいて具体的なアドバイスを出来るはずがない。それでも金銭的な負担の少ないサロンは精神的に楽な問題解決方法を提案し続けることで、これからも多くのカモを集めていくだろう。

 

彼らのビジネスは不特定多数にアプローチし、特定少数を相手に集金や精神的な洗脳を繰り返すビジネスである。不特定多数へ露出するような機会を失えば失うほど、特定少数への金銭的、精神的搾取を強化していくはずだ。

 

一度こうした強化が始まれば再びライトな方向へ戻ることはない。批判さえも認めない集団であれば間違った方向でも後戻り出来ないのだ。また、一部の信者が暴走してネズミ講のようなビジネスを展開する可能性もあるだろう。

 

同じ方向に向かい、批判という名の軌道修正を許さない集団がどれほど危険かは歴史が証明している。「すごく良い決断。」と間違った方向へ進む若者を彼らがどこまで肯定するかはきちんと注視しなければならないだろう。

 

 

*1:以前noteに注力すると宣言したが、最近はnoteが売れなくなっているので再びブログメインでの投稿を行っている。

タイトルとURLをコピーしました