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ヤフー、LINEの経営統合で株価はどう変わるか?


ヤフーとLINE

twitter.com

 

日本経済新聞の速報に続き、ヤフー(Zホールディングス)とLINE両企業からも2019年12月をめどに経営統合することが発表された。LINEについては株式の非公開化も予定されており、上場廃止となる(LINEは2016年7月15日に上場)。

 

ヤフー(Zホールディングス)はネット広告やECが収益の柱になっている。LINEはコミュニケーションツールのプラットフォームとして、広告が収益の中心であり、最近はLINE Payなどの決済分野にも力を入れている。

  時価総額

売上高 営業利益 株主
ヤフー(Zホールディングス)

 約2兆540億円

(2019年11月現在)

9547億円

(2019年3月)

1405億円

(2019年3月)

ソフトバンクG 35.6%

ソフトバンク 11.9%

(2019年3月時点)

LINE

 約1兆2410億円

(2019年11月現在)

2072億円

(2018年12月)

161億円

(2018年12月)

NAVER 72.6%

企業の規模としてはヤフーの方が大きいため、メディアの報道でもヤフーを先に記載しているところがほとんどである。

 

ヤフーはネット広告の他、ヤフーショッピングやヤフオクなどのEC、最近は金融事業にもリソースを注いでいる。

LINEもコミュニケーションツールとして顧客を広く抱え、最近は金融へも事業を広げている。LINE Bankも2020年に日本、タイ、台湾で営業予定だった。

 

ヤフーショッピングはAmazon、楽天市場を追いかける位置にあり、LINEという大きなプラットフォームがこれを助けるだろう。楽天については金融事業でも、ヤフー・LINE連合から追われる形となる。実際、ヤフー、LINEの経営統合では楽天の株価も大きく下落した。市場も楽天のシェアを奪うと見ているのだ。

 

新会社がEC事業やネット広告、金融事業で攻勢をかけるのは間違いない。また、多くの人が利用するLINEのプラットフォームを生かし、海外事業も強化するだろう。両社の株価もやはり海外事業の成功事例がポイントになる。市場が成長している新興国で足場を固めることができれば、ユニクロのように自然と売上も増えていく道筋が見えるはずだ。

 

この記事では

▶ ソフトバンクグループにおける「ヤフー」

▶ ヤフーとLINEの経営統合により伸びそうな事業

から

▶ ヤフー・LINEの経営統合が与える株価への影響

まで詳しく述べていきたいと思う。

市場に与えるインパクトは大きく、ヤフー、LINEの関連会社だけでなく、競合他社の株価を予想する上でも、両企業のビジネスについてはきちんと理解しておくべきだ。

 

 

ソフトバンクグループにおける「ヤフー」

ヤフー

 

LINEと統合するのはヤフー(Zホールディングス)のみである。

ヤフーとLINEの経営統合を理解する上では、ソフトバンクグループにおけるヤフーに位置づけについても知っておかなければならない。

 

ヤフーの親会社はソフトバンクグループ(SG)とソフトバンク(SB)である。両者は別会社であり、東京証券取引所へ別々に上昇している。

ソフトバンクグループをまとめると、下記のようになる。

ソフトバンクグループ(SG)

グループの親会社。ほぼ投資会社で、創業者であり社長の孫正義が株式の20%を保有。

ソフトバンク(SB) ソフトバンクグループの中核事業で携帯電話事業で安定した売上を出す。SGが株式の66%を保有。
ヤフー(Zホールディングス) ヤフーを傘下に収める。ネット広告、EC、メディアを中心に、近年は金融事業にもリソースを注ぐ。SGとSBが半数弱の株式を保有している。

スマホ決済で有名なPayPayはソフトバンク(SB)とヤフーの合弁会社として設立され、のちにソフトバンクグループ(SG)からも出資を受けている。

ソフトバンクグループがヤフーからPayPayへとサービス名の移行をすすめているのは「ヤフー」の名称を使うと米国ヤフーの親会社ベライゾンへ売上の3%を支払う必要があるからとされる(ヤフーとソフトバンク、自社名使わないワケより)。

 

LINEの親会社は韓国企業のNAVERである。LINEの株式の72.6%はNAVERが保有している。

NAVERは日本のヤフーのようなサービスを提供しており、検索エンジンの韓国国内のシェアはGoogleよりも高い状態を維持している。

 

ヤフーとLINEの経営統合により伸びそうな事業

ヤフーとLINEの経営統合により伸びそうな事業

 

今回の経営統合については、ヤフー側の要望が大きかっただろう(ヤフーおよびLINEの合同の記者会見では「Z社とL社の当事者同士で固め、SB KK、NAVERとともに進めてきた。それが事実。」としている)。

LINEは金融事業へと広げる過程でコストが必要だったものの、単独で進めるだけの体力はあった。従って、NAVER側が有利な条件(市場での現評価よりも有利な企業評価)で経営統合が行われるはずだ。

ヤフーはLINEがメッセージアプリで抱える大量の顧客に魅力を感じている。LINEの抱える顧客を加えることで

1.EC事業

2.金融事業

を強化できる。銀行や決算などの金融事業はヤフーとLINEがそれぞれ別々に事業を進めていた。これも一本化するだろう。

また、ヤフーがGoogleのアルゴリズムを用いて運用している

3.検索エンジン事業

もLINEの親会社NAVERのものに変えたり、ヤフーをLINEへ実装しユーザーを流すかもしれない。

 

主力の広告事業も、既存メディアから枠を奪うことで若干の成長は見込めるだろう。ただ、広告事業においてヤフーとLINEの経営統合による相乗効果はあまり見込めない。

また、ネット広告やEC事業、金融事業において、日本国内の市場はすでに飽和しており長期的な成長は望めない。他社から国内シェアを奪い、100%に近づけるよりも

4.海外展開

に力を入れていくはずだ。

 

下記でそれぞれ詳しく紹介していきたいと思う。

 

 

 

1.EC事業

日本国内のECはAmazonと楽天が多くのシェアを占めている。これらをヤフーショッピングが追いかける形がここ数年続いていた。

LINEで提供してるLINEショッピングはポイントサイトに近い性質のサービスになっている。これはLINEから別サイトへ流す送客だけの役割であり広告に近い。

ヤフーとLINEの経営統合後、ヤフーショッピングがLINEの決済システムを使って直接LINE内で購入できる仕組みにすれば、Amazonや楽天の顧客も奪っていくはずだ。こうする可能性は極めて高いかと思う。

 

国民の大半がいつも利用するメッセージアプリにはすでに決済機能もついてるため、ヤフーショッピングだけでなく、ヤフオクやPayPayフリマへも多くの顧客を流せるだろう。

 

2.金融事業

楽天は楽天市場といったショッピングモールで多数の顧客を集め、売上を作るとともに、楽天カードや楽天銀行など金融分野で利益を出している。

ヤフーもヤフーカードを発行し、ジャパネット銀行を抱えるものの、楽天ほど、サービスの互換性が進んでいない。

 

もともとヤフーはPayPayの名前で「PayPay銀行」「PayPay証券」といった楽天を真似た金融事業への展開を進める予定だった。

LINEはLINEカードやLINE Payといった決済へ進出し、みずほ銀行と共同でLINE Bankも2020年に設立予定だった。LINE Bankはタイや台湾での営業も予定されていた。LINEの金融事業もまだまだ投資段階である。

 

これらヤフー独自、LINE独自の金融事業が一本化されれば楽天に対抗しうる強力な金融サービスも期待できるだろう。

 

3.検索エンジン事業

日本の検索エンジンにおいて、ヤフーはGoogleに次ぐシェアを獲得している。検索エンジン広告もヤフーの中核をなす収益源になっている。

検索エンジンの分野ではNAVERが韓国で健闘しており、日本のヤフー以上のシェアを韓国国内で維持している。

 

検索エンジン開発でのノウハウもあるNAVERとの協力、LINEでの検索エンジン実装でシェア拡大も目指せるはずだ。

 

4.海外展開

LINEは日本だけでなくタイ、台湾、インドネシアでも数多くのユーザーを抱えている。特に、タイではFacebookとともにほとんどの人が利用しているアプリだ。

タイではメッセージアプリだけでなく、日本と同様にモバイル事業、決済事業、キャラクター事業も展開している。

タイのLINEモバイル

タイのLINEモバイル

タイのLINEモバイル

タイ・バンコクの主要駅をジャックした「LINEモバイル」の広告。スタンプでおなじみのキャラクターグッズも大人気だ。

 

タイにおけるLINEの事業は投資段階であるものの、海外事業における成功事例になりそうである。

Rabbit LINE Pay

Rabbit LINE Pay(rabbit.co.thより)。Rabbit LINE PayはBTS(バンコク・スカイトレイン)をはじめ、電気料金、スーパーなどの支払で利用できる。

ちなみに、タイのLINE Payと日本のLINE Payは別物であり、日本のLINE Payはタイでの利用ができない。

 

ソフトバンクはアメリカで加入者数4位の携帯電話事業者「スプリント」を買収し、アメリカで携帯電話事業の展開をしているものの、アジアの新興国ではまだまだ弱い。

ソフトバンクグループもLINEのプラットフォームを利用すれば、東南アジアを牽引するタイやインドネシアでの事業拡大に役立つだろう。

 

ヤフー・LINEの経営統合が与える株価への影響

ヤフー・LINEのサービス統合では主にLINEからヤフーに顧客を流す形となるだろう。

EC事業ではAmazon、楽天、金融事業では主に楽天、検索エンジン事業ではGoogleから顧客を奪うはずだ。

 

楽天はECから金融まで、広い事業が重なる強力なライバル会社が出現する。ヤフー・LINE連合にシェアの一部を奪われるはずで、経営統合のニュースがあった次の日に5%以上楽天株価は下落した。

ただ、日本国内のシェアには限りがあり、市場が成長していない分、世界へ出ていかなければならない。実際、経営統合を決断した理由にアジア進出があることは経営統合後の両社合同の記者会見でも述べられている。

 

ヤフー・LINEの合同の記者会見
ヤフーおよびLINEトップによる合同の記者会見(twitter.comより)。

 

株価が伸びていくかどうかは環境によるところも大きい。1社の業績だけでは株価上昇にも限界がある。環境といった要素を除いて考えた場合、短期ではやはりPayPayといったスマホ決済を含む金融事業の進捗と予定通り顧客を抱えられるかがカギとなるはずだ。

サービスとして重なるLINE Pay、PayPayの一本化を含め、金融事業の展開は早めに予定を発表し、実行へ移さなければならない。金融事業は楽天と同様に、利益を回収する手段として早々に育てたいだろう。

ネット広告やEC事業はすでにビジネスとして独り立ちしており、統合による相乗効果はあまり見込めない。ヤフー・LINEの融合で望めるのはLINEにおいてヤフーの検索エンジンをより使いやすい形で実装するぐらいだろう。

 

株価における長期的な成長ポイントはやはり海外事業にあるかと思う。本業とも言えるインターネットサービス事業も日本国内だけで売上の大部分を占めたままでは他社からシェアを奪う形でしか成長できない。これには限界がある。

海外での事業に突破口が見えてくれば、それも株価に反映されていくはずだ。

ユニクロは2019年8月の決算において、海外事業の売上が1兆円を突破し、営業利益でも日本国内を上回った。海外、特に新興国では市場自体が拡大しており、ここでの足場固めは将来における成長も確保できる。ユニクロの株価はここ10年右肩上がりに伸びている。

 

ドメスティック(国内志向)な企業の多いIT企業でも、こうしたユニクロのような形で海外事業が成功すれば、株価も右肩上がりになるだろう。

また、経営統合による相乗効果を見るなら、LINEにおける既存の海外事業ではなく、ソフトバンクグループのアジア進出を見なければならない。

「LINEという大きなプラットフォームを利用し、どれだけソフトバンクグループによるサービスが進行できるか?」は経営統合による相乗効果を測る上で欠かせない指標となるはずだ。